はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介するのは苗川采先生の「私を喰べたい、ひとでなし」5巻です。最新刊まで紹介していますのでこちらの感想は早くあげたいと思っていました。
まさかの表紙が汐莉と美胡の2ショットです。やっぱり仲悪そう。
今巻は汐莉が比名子と昔出会っていたこと、そして前回あやめが言っていた比名子の血の秘密が明らかになります。
比名子にとっては辛すぎる真実でしたね…これ下手したら誰も信じられなくなるレベルじゃないですかね。ギリ美胡ぐらいですかね(前科ありですが)
ようやく浮き上がってきていた比名子が一気に沈んでいいく様子は見ていて辛くなるものでした。そもそも「救い」が「死なせてくれること」の時点ですでに重いですが。
そしてここから水族館デートに汐莉と美胡が行くことを誰が予想できたでしょうか。こんなギスギスしたデートもなかなか無いですが。逆に1ページよく持ちましたね。
しんどさがどんどん高まっていく「わたたべ」、心を強くして読んでいきたいです。
今回の感想ですがネタバレ満載です。いつもしていますがその比ではないので、驚きを楽しみたい人は読まずに買ってください。
そしてできれば読んでください。
作品名 | 私を喰べたい、ひとでなし |
作者 | 苗川采 |
発売日 | 2022年9月26日 |
定価 | 737円(税込) |
発行 | 電撃マオウ(㈱KADOKAWA) |
あらすじ
「汐莉さんは本当に私のこと…喰べたい?」
自らの身体が円熟したその時、汐莉に喰い殺してもらう約束を交わしている比名子だが、
ある事件をきっかけに、この約束が反故にされかねない自身の血に隠されたとある秘密を聞かされてしまう。
血の真相を問いつめる比名子だったが、汐莉から告げられたのは予想だにしない残酷な真実で――。
「あんなに、君しか要らなかったのに――」
(『私を喰べたい、ひとでなし』5巻あらすじより引用)
感想
生きていたあやめ
昨夜あやめから助けられてから、汐莉と話すことができていない比名子。今まで比名子につきっきりだった汐莉がまるで比名子を避けているかのようです。
代わりに美胡が比名子にずっとつきっきりですね。昨夜比名子のもとにいれなかった、怪我をさせてしまったということに申し訳無さを感じているからでしょうか。
包帯を取り替えるときの美胡の完全マスクでの処置は少し面白いですね。それで匂い防げるのでしょうか。勢いで喰べたくなるのを我慢するだけでしょうかね。
早速余談ですが、このときの美胡が妖怪がいなくなったときの話をしています。
『元々あるはずのないものが消えてなくなるだけ』
(『私を喰べたい、ひとでなし』5巻より引用)
今回はあやめがいなくなったことであやめがいたという記憶がなくなったということです。この辺は最初の方の呪いの話とも繋がりますね。
この辺の消えてなくなるだけというところは少し気になることではあります。汐莉と美胡がいなくなったときのことも示唆しているような…。考えたくないですね。見当外れであって欲しいです。
朝食に行く途中、美胡と離れて一人になります。そこに現れてたのは死んだと思っていたあやめでした。頭が無事なら体は直せるの元人間にしては不死身すぎませんかね。それだけ強かったのでしょうか。汐莉と美胡が圧倒的な気がして他の強さが分かりづらいんですよね。
あやめが戻ってきた理由は比名子に謝りたかったからでした「お母さん」と呼ばれて嬉しかったことを伝え、怪我をさせたことを謝りました。
あやめが妖怪になった過去も今回触れられていますが、こっちの経緯も悲しいです。この作品の登場人物暗い過去持ちすぎじゃありませんかね…。美胡はそこまで暗くないかもしれませんが。(比名子の家族の事件は除いて)
あやめの元ネタ的なものについて調べたところ「二口女」というものがありました。まんまあやめでしたね。
二口女(ふたくちおんな)は、日本の江戸時代の奇談集『絵本百物語』(1841年)にある妖怪の一つで、後頭部にもう一つの口を持つという女性の妖怪。後頭部の口から食べ物を摂取するものとされる。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E5%8F%A3%E5%A5%B3#%E6%A6%82%E8%A6%81
あやめがそのまま妖怪になっていたのは、懺悔が足りなかった。もしくはそのころから買われていなかったからということなのでしょうか。
今回であやめの出番は終わりそうですが、比名子と出会ったことで何かが変わっていけばと思います。願わくばもう一度出てほしいですね。
そんなあやめですが、比名子にとある事実を告げます。それはそれまでがひっくり返るような事実、『自分の血が混じった人間なんて、不味くて喰べられたものじゃない』というものでした。
汐莉の祈り
あやめと別れた後も、言われた言葉が気になっている比名子。心配をする美胡にそのことを話します。ここで相談できるのえらい。
でもここで自分の傷を見せて『ちょっと舐めてみる?』と聞く比名子さんマジ比名子さん。そういうとこやぞと思いましたね。相手が美胡だからってもうちょっと自分大切にしましょうよ…
本当に自分の中に汐莉の血が入っているのか、それを聞くため放課後汐莉と会います。(美胡はいつもどおり呼ばれてます)
ようやく汐莉と話すことができた比名子は、昔どこかであったことがあるのか、自分に汐莉の血が入っているのは本当かなどと尋ねます。
そこで語られる真実は「比名子を美味しそうだと思わないこと」そして、比名子に対してかけていた「祈り」でした。
最初の『君を喰べたかったのは本当です』からもいまは違うということが伝わりますし、その後の『君の血の匂いですらも不快で堪らない』というのも重かったですね。
この巻まで読んでみて思い返すと、汐莉は比名子に『美味しそう』や『喰べたい』といったことは何度も言っていましたが、美胡のように血を見ても特に反応をしなかったですし、比名子に生きていてほしいと思うような行動が多かったです。
そして生きていてほしいということにつながるこの「祈り」ですが比名子にとっては残酷なものでした。
比名子が今まで生きてきた意味全てを否定するものになっていますよね…
美胡と同じように沈みきれなかった理由の「家族からの願い」がすべて違うものだったと知った比名子のショックは計りしれないです。
別れ際の「ひとでなし」は比名子の複雑な感情が表情で出されていて好きなシーンですが同時に辛いシーンでもあります。
家族からの願いも、救ってくれると信じていた約束も、全てが偽りだったと感じた比名子。
彼女をつなぎとめていたものがなくなってしまったように感じます。それで比名子が思うことは…。
そして汐莉は美胡に自身の過去を話します。それは汐莉が人の世界の「内側」に入る話。
真実がどんどん明らかになっていき、それぞれの思いが出てくるであろうこれからが楽しみです。
終わりに
「わたたべ」5巻の感想でした。
いやもう、本当に重いし辛いですね。比名子が徹底的に追い詰められている。
明るい要素が美胡しかない…。助けて美胡…。
繰り返し読むとキャラの心情を改めて考えることができてより深く考えることができます。
その度に辛くなっていきますが。
私の推しポイントとしては
- あやめから語られる疑惑
- 傷を差し出す天然な比名子
- 汐莉から語られる真実
ですね。真ん中は完全に私の好きなシーンです。
暗さマシマシになってきましたがこれからどうなっていくのか、それぞれの思いがどうなっていくのかを見届けていきたいです。
それではまた次の作品で。
あとがき
本編が暗すぎることへの反動かおまけの漫画や途中のイラストは明るいものが多い気がします。本編と本編外の動物のイラストが違いすぎます。ペンギンの差が激しすぎる。
そしておまけ漫画。喰べたいとかかれたうちわは面白すぎませんかね。
こうはなれないのが本編…こうなって欲しい(切実)
また最近漫画の更新のみですみません。もう少しラノベの感想も上げるように頑張ります。
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