はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介する作品は、二月公先生著、さばみぞれ先生画の「声優ラジオのウラオモテ」2巻です。
前巻からの続きなので、全体的にシリアスよりのような気がします。
声優を続ける決意をした由美子と千佳の2人が喧嘩しながら頑張っています。
由美子と千佳の喧嘩はなんだかんだ息があっていて、テンポがいいので見ている分には面白いです。
そこに出てくる新キャラの声優「柚日咲めくる」(めくる)もいいキャラしています。
キャラ紹介の画をみて内容を見ると色々とギャップがあって好きになりました。
この作品読んでいると、声優に限らず裏と表を使い分けてる人ってすごいなと思います。
わたしはすぐにボロが出るタイプなので…。
そして最後の千佳のお母さんとの賭けは、その場の緊迫感まで感じられて一気に読みました。
例えフィクションでしかありえないような話でも、色んな人に助けられるというのは心が熱くなります。
そんな心が熱くなる巻となっています。
作品名 | 声優ラジオのウラオモテ #2夕陽とやすみは諦めきれない? |
著者 | 二月公 |
イラスト | さばみぞれ |
発行日 | 2020年6月10日 |
定価 | 715円(税込) |
発行 | 株式会社KADOKAWA(電撃文庫) |
あらすじ
1巻の炎上事件によって、アイドル声優としての表の顔を失った声優、「歌種やすみ」こと由美子と「夕暮夕陽」こと千佳。
それでも声優を続けることを選び、先輩声優の柚日咲めくるからの辛辣な言葉を受けながらも事務所の手助けを受けながら仕事を続けていた。
そんな中、炎上事件によって素性がバレた2人の写真を取ろうとする人たちからの対応に困っていた。
さらにそのことに対して千佳の母親から話があると言われ…。
2人に声優人生の危機が訪れる。それでも声優を諦めない。
仲の悪い2人の声優コンビが送る声優ラジオ、第2巻。
感想
夕陽とやすみのイメージ回復作戦
炎上事件と裏の顔の暴露によってアイドル声優としての道を完全に絶たれた由美子と千佳。
その一方、素で話すことになったラジオは逆にそれがリスナーに受け、継続が決まりました。
それを利用して、「素のキャラ」として売り出していこうということをお互いのマネージャーと話して決まりました。
今巻のラジオコーナーも読みましたが、素の2人の話しているの文章でも聞いたら面白いだろうなと思いました。
逆にラジオのコンセプトの「皆様に教室の空気をお届けするラジオ番組」にあってるんじゃないかと思います。
教室でキャッキャウフフな話ってしますか。
コミュ力の差でしょうか…
それはともかく、2人が喧嘩(?)しながらお便りもバッサリ切っていくの、私も聞いてみたいと思いました。
というかこの2人、仲がいいのか悪いのか…。
本人たち的には仲が悪いと思っていると思いますが、息があって見えます。
「嫌よ嫌よも好きのうち」と言うやつでしょうか。百合作品では割と定番な気もします。
そのあたりの察しが悪いあたり、まだ百合への理解度が足りてないんだろうなと思います。
この作品を百合作品といっていいのか難しいですが、個人的には百合と思っています。
じゃないとこのブログにも書いていませんしね。
話は戻りますが、この「素のキャラ」を出していくことについて、2人ともあまりいい印象を抱いていませんでした。
本来の自分たちに近いとはいえ、結局は今までと同じようなものじゃないかと思っていたからです。
それに同意すると同時に、人に見せる顔って難しいなと改めて感じました。
前も話したかもしれませんが、多かれ少なかれ、人間、他人と接するときはキャラを作っているものだと思います。
それが違うとなったら「何が本当の顔なんだろう」と疑われてしまうと思います。
どんなに本当の顔をみせても「それも嘘なんじゃないか」と疑われてしまって、信用されなくなると思います。
それがこの2人の状況なのかなとも思いました。
そう考えると、人間関係というか、人にどういう自分の見せていくのかって難しいですね。
本編の内容と微妙にズレているとは思いますが、作品を通して「人に見せる顔」というのを考えさせられるなと思いました。
声優人生を賭けた一歩
ラジオの仕事が続いたことや事務所の協力により、何とか声優としての仕事を続けていた由美子と千佳。
しかし、そこに2人の声優人生を左右する出来事が起こります。
千佳の母親により、千佳の自宅のマンションが特定されていたということがわかります。
千佳の身に危険になることを考えた千佳の母親は、声優をやめさせるように事務所のマネージャーの成瀬にいいます。
正直、ここまでことが大きくなったら、千佳の母親の言葉が正論だと思います。
こういう事態、現実にもありそうで怖いですね。
「自分たちは騙されていたから騙した相手に何してもいい」と本気で考える人は、おそらく、というかほぼ間違いなく現実にもいると思います。
特に千佳は裏営業問題で炎上していますし、余計にそう考える人が出てきてもおかしくないのかと思ってしまいます。
「人の不幸は蜜の味」という言葉もありますが、なんだかんだ人の不幸には敏感で、その結末がどうなったかなんて気にする人は少ないと思います。
私も一人のアニメやゲームなどのファンとして、こういう人間にはならないようにしていきたいです。
そんな危機に立たされた千佳ですが、そこで母親より一つの譲歩案が出されます。
それは、「学校から駅までの帰り道の間に、声をかけられたら声優をやめる」ということでした(だいぶ割愛してます)
現実的に考えて、不可能だとその場にいた全員が思いました。
たった一人でも悪意のある人が話しかけたら、その時点でアウトだからです。
この譲歩案が出たのは由美子が話した「ファンの善意」によるものでしたが、それでも限度があります。
どう好意的に考えても、現実では絶対に無理ですね。
性善説に賭けるというのはとても美しいですが、現実はそんなに綺麗じゃないです。
私でも千佳の母親が言っていることの無茶振りがよくわかりました。
さらにそこに由美子の母親も加わり、由美子も同様の条件が課されることになります。
成功する確率はほぼゼロの中、それでもその残りの数%を信じて、2人はこの賭けに乗ることにします。
このときの2人の決意や始まったときの臨場感は読者の私にも伝わってきて、目が話せませんでした。
「ラノベだから成功するだろう」と「いくらラノベでも無理だろう」という気持ちで読んでいました。
実際どうなったかは読んでいただきたいのですが、個人的には納得のできる終わり方でした。(落ちまで含めて)
おわりに
ということで、「声優ラジオのウラオモテ」2巻の紹介・感想でした。
芸能人とファンの問題は現実にもあることなので、「ファンとしての姿」というのを考えさせられます。
あれ、これどちらかというとお仕事系のお話だったはず…。
こっち側への問題提起になってませんかね…
さて、今回の個人的なおすすめは
- 由美子が千佳のメイクをする(第25回後)
- ハートタルトお渡し回(第30回後)
- 声優人生を賭けた駅までの道(第30回後)
です。
メイクについては、学校まで来ていたいわゆる「厄介な人たち」から隠れるための変装です。
これも現実にありそうで怖いです。
お互いが全く別のキャラになりきるということを踏まえてもこの場面は好きですが、それと同じくらい由美子の心情も印象的です。
詳しくは読んでいただきたいのですが、簡単に言うと「夕陽がやすみと同じような立場になって嬉しい」ということです。
言葉にするとよく聞こえますが実際はかなり嫌な言葉です。本人も自覚しています。
そんな黒い本音が見え隠れする場面がとても良かったです。
お渡し回…というよりはその直後というのが正しいですかね。
お渡し回のお互いのキャラに違和感を感じている場面も好きですけどね。
ぶっちゃけネタバレに入ると、柚日咲めくるの「裏の顔」が判明します。
このときのギャップで一気に好きになりましたね。
最後の道は感想でも話したので省略します。
ここは一連の流れを通して一気に読んでいただきたいぐらい大好きですね。
今後もファンに対する問題提起みたいなことが増えるとこっちも身構えてしましますが、改めて考えるいい機会かもしれませんね。
先の巻も読むのが楽しみです。
あとがき
更新をサボっているわけではありませんが、明らかにペースが落ちていますね。
熱くてやってられないというのもありますが、若干サボりがちになっているような気がします。
言い訳がましくて申し訳ございませんが、もう少しこのゆったりペースが続くと思いますので、継続して読んでいる方がいましたら、のんびり待っていただければと思います。
段々と懺悔室みたいになっているなここ…
ちなみに、部屋の暑さについてはエアコンの本格稼働によりだいぶ解消してきました。
それでも夜しかつけないので夕方までは35度超えの地獄が続いています。
皆さんはこんな無茶しないでください。
さて、今回のおすすめイラストですが、ラストのイラストです。
由美子と千佳が泣きながら叫んでいるシーンです。
ここ、見開きになっているので、見たときのインパクトが大きいのも印象に残った理由です。
何を叫んでいるかは本編を見ていただければと思いますが、心に刺さります。
こういう、キャラの感情が爆発している場面というのはイラストになるとその場面がより鮮明になるのでいいですね。
アニメ化した際の楽しみにしたいです。
それではまた次の作品で。
コメントを残す