1. はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介するのは苗川采先生の「私を喰べたい、ひとでなし」2巻です。
6巻紹介しましたが戻ります。皆さんに内容を知っていただきたいので。
それぞれの巻で面白いところがあるのでそれぞれ紹介していきます。
1巻、6巻の記事とともにお願いします。
おすすめポイント
- 比名子の死にたい理由
- 美胡が本格登場
作品名 | 私を喰べたい、ひとでなし |
作者 | 苗川采 |
発売日 | 2021年6月25日 |
定価 | 737円(税込) |
発行 | 電撃マオウ(電撃コミックスNEXT) |
2. あらすじ
「君、なんでそんなに死にたがっているんです?」
人を喰らう人魚の少女・汐莉に本心を見透かされていた、
死を望む孤独な少女・比名子。
家族全員を事故で亡くした日、家族の最期の願いが
比名子を蝕むある呪いをかけていた――。
「家族の分まで、私は――…」
(引用元:電撃マオウ 私を喰べたい、ひとでなし 2)
3. 感想
比名子の思い
1巻では汐莉に死にたがっていることを見破られ、その理由について聞かれて終わっていました。今回は比名子がその理由について話すところから始まります。
比名子は汐莉のことを『海みたい』と表現します。それは、比名子の家族を奪った海のように彼女の命を奪ってくれる抗えないものだからです。
比名子は事故にあった時、一人外に飛び出していて一緒に海に沈みませんでした。一人助かった比名子は自分も死のうと海に落ちるこを考えます。
しかしその時、どこかから声が聞こえます。
『比名子だけは生きて』
(『私を喰べたい、ひとでなし』2巻より引用)
幻聴としか思えない、けれども確かに感じたその声により、比名子は自ら死ぬことをやめます。それは家族の願いに反することになるからです。
死にたいと願っているにも関わらず、自らその願いを叶えてはいけない。歪ですが、だからこそ比名子は今まで生きてきました。
このような状態のことを「サバイバーズ・ギルト」というようです。
サバイバーズ・ギルト(suivivor’s guilt)とは、自分だけ生き残った、もしくは自分だけ生き延びたなどの理由で抱く罪悪感、あるいはそれに似た感情のことをいいます。
引用元:特定非営利活動法人日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン 用語集 サバイバーズ・ギルトより
https://www.just.or.jp/?terminology=001079#:~:text=%E3%82%B5%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%AE%E3%83%AB%E3%83%88%EF%BC%88suivivor’s%20guilt,%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82&text=%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AE%E6%96%87%E5%8C%96%E4%BA%BA%E9%A1%9E%E5%AD%A6%E8%80%85,%E6%96%87%E5%8C%96%E3%80%8D%E3%81%A8%E5%88%86%E9%A1%9E%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82
そして比名子は出会いました。あの日の海のような、自分を気まぐれに殺してくれる、絶対的な存在ー汐莉に。
『貴女がやってきた』と言うときの比名子の表情が笑顔なんですよね。ようやく自分の願いが叶う、家族のもとに行ける、連れて行ってくれることを嬉しく思っていることを感じます。
それは、今まで惰性で生きることしかできなかったことから開放されるように感じたのでしょう。だからこそ、汐莉が1巻で「すぐには喰べない」といったことに絶望したんだと思います。
それを聞いた汐莉は死にたくない、もっと生きたいと願うように言います。汐莉が比名子を喰べるため、幸福に生きる努力をするように言います。
普通に考えて真逆の言葉ですが、比名子はそれを受け入れます。
比名子の気持ちが前向きになっていますがその方向性が「家族のもとに早く行きたい=早く死ぬため」なので素直に喜びづらいですね。
できればもうちょっと別の方向で行きたいと考えてほしいものですが。
美胡と比名子
また、この巻からは比名子の親友、美胡が本格的に登場します。
1巻から登場はしていてすでに絡んでいたんですが、なにせ汐莉さんにいいところ全部持っていかれていたので…。
事故に合い家族を失った後、沈んでいた比名子の手を取ったのが美胡でした。明るく接してくれた美胡に比名子は救われて、今まで生きていました。
物語の表現的には沈み切る前に戻していたまたは引き上げていた、といったところでしょうか。それそのものが生きる理由にならなかったということで比名子の闇の深さが見えてきますが。
美胡が出てくると一気に作品が明るくなるのでいいですね。通常がシリアスと不穏さが漂いすぎて見てて重くなりますが、美胡は基本笑顔の場面などが多いので一気に晴れやかになります。
ただ、学校に行く途中の『花火見えた?』はベージ開いてすぐだったこともあり、ビクってなりました。いやもう目が笑ってないです。怖い。
とは言え美胡は比名子のことを本気で大事にしています。汐莉が来るまで、比名子を妖怪から守ってきたのは美胡でした。
そのため、比名子のことを喰べようと考えている汐莉のことを毛嫌いしています。おそらく若干の嫉妬も入っていると思いますが。
途中まで(もしくは1巻段階でも)読んでいくと美胡が普通の人間でないことに気づきます。まあ、比名子とずっと一緒にいる時点で何となく普通じゃないんだろうなと思います。
それでも正体が判明したときは流石に驚きました。思ったよりやべー方向でしたね。
はじめてこの姿を見た時、また、それまでの道のりを見ていると、「あれ、美胡敵側?」と思ってしまいました。
ただ、それ以降の言動をみるとやっぱり比名子のことを大事にしている、守りたいということがよくわかりました。
汐莉も美胡も、どっちも同じ理由で戦っているのでどっちかを応援と言うのは比名子の心情と同じでできなかったですね。比名子ちゃん魔性の女。
美胡の秘密、比名子との関係が書かれ、それがもっと深くなるといったところで今巻は終わりになります。
途中から完全に汐莉が悪役みたいになってます。言動のせいですが。
美胡ちゃん報われてほしい…
4. 終わりに
改めて「私を喰べたい、ひとでなし」2巻の感想でした。
汐莉さんが機械系苦手ことがわかるなど明るい場面も多いですが、比名子のシリアスで全て持っていかれます。
話が重い作品が好きな人は相変わらずはまれるかと思いますのでおすすめですね。
それではまた次の作品で。
あとがき
おまけ漫画が面白いです。
いろんな汐莉さんが見ることができて面白かったです。(効果音は聞かない)
それでもまじまじと見る比名子メンタル強い。
漫画のカバー下やおまけ、あとがきは小ネタが書いてあったりしてつい何が書いてあるのかと見てしまいます。
こういうのを見ることが好きなので電子書籍のほうがいいと知りつつ紙の本で買ってしまうんですよね。おかげで部屋に本が沢山。引っ越しのときも面倒でした。
それでも集めること、読むことはやめないんだろうなと思います。
共感してくれたら嬉しいです。
ライトノベルの更新が遅くて申し訳ないです。頑張ります。
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