はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介する作品は、萩埜まこと先生の「熱帯魚は雪に焦がれる」1巻です。どうして数年前の本を買うようになってしまったのか…
某アニメ作品と同じ流れを感じます。(ここまではOKのはず)こっちが数年前なのでこっちが先輩ですね。
都会の高校から引っ越してきた高校生の『天野小夏』(小夏)と、転校先の高校で水族館部に所属(一人)している『帆波小雪』(小雪)との出会いから始まり、2人の交流で物語が進んでいきます。
小雪のほうが小夏のことを先に意識し始めるというのは意外に感じました。今まで人に見せてない一面を何度も見られて、小夏の優しさに触れていったからだと思います。
結構心の声や感情が表に出ていた小雪とは逆に、小夏はあまり心の内が見えなかったように感じました。
無理して笑顔を作っていたり、『一人でも大丈夫』といっていた場面があったことから、嫌なことや我慢していることがあったのかと思いますが、まだなにもわかりません。
『いっそ蛙になれたらいいのにな…』
『熱帯魚は雪に焦がれる 1』より引用
という、小夏にいった言葉の意味もまだわからないままです。井伏鱒二先生の『山椒魚』から取っていることは間違いないんですが。
今後は小夏の心情ももう少し見ることができるんでしょうかね。
あと最後の小夏の方言の破壊力はすごかったですね。最高に可愛かったです。
すでに完結している作品なので、終わりは見えていますが少しづつ揃えて言って楽しんでいきたいです。
作品名 | 熱帯魚は雪に焦がれる |
作者 | 萩埜まこと |
発行日 | 2017年12月16日 |
定価 | 627円(税込) |
発行 | 株式会社KADOKAWA(電撃コミックスNEXT) |
あらすじ
都会の高校から、海辺の田舎町にある七浜高校へ転校してきた小夏は、周囲にうまくなじめずにいた。
そんなとき、七浜高校水族館部のひとり部員である小雪と出会う。
小雪は周囲から高嶺の花と思われており、そのイメージ通りに振る舞うことに、少し寂しさと息苦しさを感じていた。
異なる孤独を抱えて、
『熱帯魚は熱を帯びる 1』STORYより引用
お互いに惹かれたふたりはー?
感想
本心がうまく出せない小雪
真面目で、優しくて、憧れの存在とされている小雪。そんな生活は嫌ではないと思いつつ、そんな生活に気疲れも感じていました。
いつの間にかついたイメージって厄介なもので、自分でそうしたわけではないのに、それと違う行動をすると勝手に幻滅されるんですよね。
特に学校のように狭い世界だと、幻滅されることで学校に行くことが嫌になったり、最悪いじめみたいなものにも繋がってしまうので、気を使うと思います。
そんな小雪は海辺でいつもの自分とは違う姿を見られたことをきっかけに、小夏を意識し始めます。
2度目の出会いからすでに意識している小雪ですが、2度目に会ったときの、『我慢しなくていい』という言葉が響いたんだと思います。
さっきも書きましたが、それまで理想の『帆波小雪』を見せていて、気疲れを感じていたので、小夏の言葉が一種の救いになったんじゃないかと思います。
そこから小夏のことを考えて顔がニヤける小雪が可愛かったです。好感度一気に上がり過ぎではないでしょうか…。第1話冒頭のおとなしい先輩との差が激しいです。
小夏とスキンシップを取ろうとして普段と違うキャラの自分を想像して自分に突っ込んでいた一人ツッコミをしているところは面白かったです。
かっこいいときと可愛いときのギャップがあってとても良かったです。
やっぱり一番好き場面は、小夏が小雪に向かって方言を話したときの小雪の表情です。
見事に心を撃ち抜かれたような顔が、完全に「堕ちた」顔をしていて可愛かったです。
これから小夏に対してどのように接していくのか、楽しみです。
新しい環境で頑張る小夏
島に転校してきたもう一人の主人公の小夏ですが、今巻だけでも色々と頑張っている姿が印象的でした。
特に小雪については、積極的に交流をしたいと思って色々と行動していました。
最初小雪に惹かれた理由は、初めての環境で優しくしてもらって、仲良くなりたいと思ったことがきっかけだと思います。
でもその後、小雪が自分に似て「ひとりぼっち」であることを感じます。
水槽の水換えの交流を通して、改めて「小雪」がどんな女の子なのかを知り、仲良くなりたいと思ったんだと思いました。
このときに、この作品の元となっていると思われる井伏鱒二先生の『山椒魚』のセリフを引用したり、内容を意識した言い回しをしています。
小雪を山椒魚、水族館部を岩屋にたとえて説明しているのはすごくきれいなたとえだと感じました。
それに対して小夏は、同じく『山椒魚』を用いて『蛙になれたら』と言っています。
正直このあたりの例えについて、私自身『山椒魚』を読み込んでいないですので、どこまでの意味があるのかを読み切れていないです。
ただ、仲良くなりたい、一緒にいたいというような思いを感じました。
おそらく、ひとりぼっちでいる小雪のそばにいたいと感じたからなんじゃないかなと思います。
『山椒魚』を読みこんだら、このあたりの気持ちを理解することができるのかなと思います。逆にこの作品についてもすごく気になりました。
ただ、個人的には小夏自身、蛙ではなく山椒魚ではないかと思いました。
自分の本心を人に見せないようにするところなど、我慢をするところなどは小雪と似ている所を感じました。
それを踏まえての『蛙になれたら』ということだったのかと思います。
ちょっと寄り道が長くなりましたが、そんな小雪と一緒にいたいと思ったことから、水族館部に入って色々と頑張る子夏を応援したくなりました。
ただ、本心を隠しているようにも見えますので、それがこれから影響してくるのか少し心配です。
特に無理して笑っている場面が何度かあったのでそのあたりの無理がなにかに影響するかもしれませんね…途中小雪から注意を受けていたので大丈夫かと思いますが。
でも最後の方言がうつったときの言い方と、それで顔を赤くしている場面が最高に可愛かったです。コレは小雪じゃなくてもキュンと来るでしょう。
こんな場面がこれからも続いてほしいです。
おわりに
とういうことで『熱帯魚は雪に焦がれる』1巻の紹介・感想でした。
少し前の作品にはなりますが内容がとても好きでした。ほんとどうしていま好きになったのか…。
そして何度も読み返して気づいたのが、小雪の左目の下に泣きぼくろが会ったことです。これは色んな人から好かれますね。
個人的な推しポイントは
- 水槽の水替えの途中できた小夏にびっくりして海水を飲む小雪
- 小夏との会話を思い出してニヤける小雪
- 方言がうつってしまった小夏
です。小雪の表情がころころ変わるので好きです。そして絶対に外せない小夏の方言。
そしてラスト、小夏への思いが溢れてハグをしてしまった小雪。これからふたりの関係がどうなっていくのか。次巻も楽しみです。
それではまた次の作品で。
あとがき
小雪と小夏って名前がすごく似ていますよね。下の名前で書いていると一瞬混乱してきます。
おそらくタイトルともかけているんだと思います。
『熱帯魚は雪に焦がれる』なのでここでいう『熱帯魚』はやっぱり小夏じゃないかと思いますけどね…。
ただ、今のところ『焦がれる』という部分については小雪だと思うので、難しいです。
これから答え合わせできるか楽しみです。
いつもは特に気に入ったイラストについてこの後話していますが、結果的に全部最高でした。魚に話しかけている場面なのでたまにあるセリフが面白かったです。
ただ、今回で言えばカラーページの小雪の初登場での場面でしょうかね。
まだ優等生で大人っぽい印象を持っていたときの小雪です。(すぐに本心が出てきましたが)
この時の泣きぼくろも見えているのも合わせてとてもかわいかったです。
この作品もそうですがイラストがとても丁寧で可愛いで見てほしいです。
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