ライトノベル感想

「午後4時。透明、ときどき声優」2巻感想~2人の声優これから~


はじめに

こんにちは、トビです。

今回紹介する作品は、岬鷺宮先生著、いちかわはる先生画の「午後4時。透明、ときどき声優」2巻です。

紫苑と良菜、入れ替わりから始まった2人の声優の壁とこれからについて書かれていました。

入れ替わりについて言及されるのが早かったなという印象でした。

まあ、あんまり引っ張っても違和感しか無いですし、本人たちも良くないことと自覚していますからね。

そして2人がそれぞれ直面する声優としての壁を乗り越える場面は、お互いの声優としてのスタンスや魅力が存分に書かれていたと感じました。

2人の醸し出す、友人とも姉妹とも取れるような関係性がとても良かったです。

個人的好きなポイント

  1. 入れ替わりを続けるかどうかの決断
  2. 紫苑から見た良菜
  3. それぞれの持ち味を活かした演技
作品名午後4時。透明、ときどき声優 2
作者岬鷺宮
イラストいちかわはる
発行日2023年8月25日
定価748円(税込)
発行株式会社KADOKAWA(MF文庫J)

あらすじ

普通の女子高生だった山田良菜は、とあるきっかけで大人気声優の香家佐紫苑の替え玉として声優をしていた。

最初は紫苑のような演技をしていたものの、「自分の演技」をしたいと思うようになっていた。

そこで自分の演技をした作品のオーディションで主役を勝ち取った良菜。

その作品が動き出そうとした時、入れ替わりについて監督に打ち明けたところ、「入れ替わりをやめること」を提案される。

入れ替わりを公表したら、大騒ぎになると感じている良菜に対し、紫苑は思うところもあるようで…。

そんな中、2人にそれぞれ大きな仕事が入る。

それぞれの現場で壁にぶつかる2人。

それは自分の「声優としての生き方」に関わるもの。

自分、そして、入れ替わりの相手と向き合い、それぞれのあり方を問いかける。

2人の声優のそれぞれの行く先は…。

2人の声優の物語、第2巻

感想

入れ替わりを続けるかどうかの決断

紫苑の代わりとしてオーディションを受けて、主演を勝ち取った良菜。

その監督の塔ノ沢監督から入れ替わりの解消について提案された2人。

良菜は「紫苑の代役」として声優を続けていましたが、その中で声優の楽しさを感じ始めていて、自分のお芝居をしたいと感じていました。

そんな中、自分のお芝居で主役を勝ち取った作品の監督から言われた良菜は、どうするべきか悩みます。

当然、入れ替わりについて話したら炎上するでしょうし、各所に迷惑をかけることになります。

そのことを考え、最初は入れ替わりについて公表しない方がいいと思っていました。

一方の紫苑は、公表していいと考えていました。

紫苑は入れ替わりについて、「良菜の人生を縛っているのではないか」と負い目を感じていました。

紫苑は良菜を芝居を見てきて、自分と違うことを感じて、その現状を間違いと感じていました。

どんなに声や姿が似ていたとしても、それまでの人生や感じ方が違っているので、演技するに当たってはズレてくるだろうなということは素人ながら感じました。

そうやって考えた結果、入れ替わりを解消することを決めます。

そこから、入れ替わりについて世間に公表される流れになりました。

作中で出てきていないからかもしれませんが、中では比較的好意的な意見が多めで、最終的には、「今後の2人の活動次第」という結果に収まっています。

このあたり現実ではどこまでに自体になっていたかなと思います。

まあ、作中同様、炎上することは間違いないとして、本人たちにもある程度被害がいきそうな気がします。

別作品では、本人たちの家を特定して撮影をしたりするなんてこともありましたが、同じようなことが無いとも言えないかなと思います。

こういうやつってネット上の格好のおもちゃにされる可能性が高いので。

そこまでなると、物語が動かないので、サクッと終わらせたことは良かったですが、現実で起こったら、本当に怖いなと感じました。(本筋とは関係ないですが…)

紫苑から見た良菜

この巻では、紫苑からの良菜も見ることができてよかったです。

前述の良菜を縛っていたということもそうですが、演技の目線で良菜の成長を見ていました。

個人的に好きな場面が、紫苑が良菜の演じた役を逆に良菜になりきって演技した場面です。

「わたし、良菜にはなれないかあ……」

ため息交じりに、そうつぶやいた。

「あの子と同じお芝居、できないかあ……」

『午後4時。透明、ときどき声優 2』より引用

この時点で、紫苑は良菜と自分の演技は違うことをはっきり自覚しています。

多分、この時点で、良菜の声優としての才能を新ためて実感したんじゃないかなとも思いました。

無意識のうちに自分と同等かそれ以上と考えていたんじゃないかと思いました。

それがまだこの時点では外には出ていなかったんだと思います。

それが、この巻を通して紫苑も成長し、最後の紫苑の決断に繋がったんだと思います。

こうした紫苑の心の変化が今回多く出ていて、「紫苑から見た良菜」を見れてよかったです。

それぞれの持ち味を活かした演技

この作品で外せないのが、やはり実際に聞こえてきそうなほど迫力がある演技の場面です。

今巻では、紫苑、良菜それぞれラストに大きな見せ場がありました。

自分が一番輝くために声優としての道を選んだ紫苑。

お芝居に恋い焦がれて、その世界を魅力的にするために演じる良菜。

それぞれのスタイルでできる最大の演技がされていました。

途中で入る挿絵の効果もあり、その世界が目の前に広がるように感じました。

このような世界を文字で表現できる先生も同時にすごいと感じました。

「声優」という仕事の理解度、そしてそれを文字として起こせる表現力。

それらが合わさってより魅力的な場面になっていました。

その中で特に好きなのは良菜の最後のセリフの場面です。

挿絵の効果、その文章の表現が合わさって、そのセリフがどんな場面か、想像することができました。

声優という仕事が出す世界観もそうですが、合わせて岬先生の表現にも感動した場面でした。

おわりに

ということで「午後4時。透明、ときどき声優」2巻の紹介・感想でした。

アニメなどの映像や音で見たいと思いつつ、文章でしか味わえないようにも思います。

終わり方がスッキリしており、作品自体は此処で終わりなのかなとも思っており、もっと見てみたいという気持ちがあります。

もし続きがあるならどんな話になるだろうなとも思います。

読後感がスッキリする作品なので、1巻2巻まとめて読んでほしいと思います。

あとがき

感想を書くのって本当に難しいですね。

ネタバレOKだったとしても内容をただかくだけではダメですし、変に個人的な意見ばかり入れても内容からズレてしまいますし。

試行錯誤の連続です。

さて、今巻の好きなイラストですが、感想でもだした第6話の良菜のラストの演技のシーンです。

良菜の主演作品のラストの後日談を語る場面。

そこに込められたのは良菜のお芝居への思い。

その思いとセリフ、そしてそれを演じる良菜のイラストが交わって、どんなふうに演じているのか、その場面がどんな場面なのか想像することができました。

実際の声優もそんなふうに演じていることを考えると改めて声優ってすごいと思いました。

いろんなことを感じることができた今作でした。

それではまた次の作品で。

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ABOUT ME
トビ
1996年12月4日 長崎県生まれ長崎県育ち。 現在長崎市在住の会社員。 小学生のときからライトノベルやマンガ、アニメが好きでした。 ライトノベル作家や漫画家の先生を少しでも応援したいと思いブログを始めました。 いろんな感想を語り合いたいと思っています。 ちなみにプロフィール写真は私が作ったケーキです。 お菓子は作るのも食べるのも好きです。 甘いものは正義。 よろしくお願いいたします。

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