はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介する作品は、桜木蓮先生の「アネモネは熱を帯びる」3巻です。相変わらず表紙が尊い。
凪紗と茉白の関係の関係がさらに進んだ今巻。まさに「好き」のその先ですね。
作品の帯も『「大好き」が始まるー』です。最高。
メイン2人もさることながらその周りも出揃った感じがします。
2巻ラストに登場した『九折凛理』(凛理)が本格的に参戦しましたが好きになりました。
カッコいいところと可愛いところが一気に出てきて一気に引き込まれました。あとテンションの浮き沈みが激しいところも好きです。
南条と朱里、凛理と宇田のそれぞれの関係性にも注目していきたいです。
百合が濃ゆくなるにつれてなんだか作品内の湿度も上がっていっているような気もしますね…その重さもいいです。
作品名 | アネモネは熱を帯びる |
作者 | 桜木蓮 |
発売日 | 2022年6月10日 |
定価 | 693円(税込) |
発行 | 株式会社芳文社(まんがタイムきららフォワード) |
あらすじ
茉白に「好き」を伝えられた凪紗。
「嫌い」から「好き」へ。
でも、「好き」はそう単純なものではなく…。
分からないことはまだまだ多いーー。
「好き」知った少女と「好き」を秘めた少女がおりなす
濃厚百合物語、第3巻
(『アネモネは熱を帯びる』3巻 あらすじより引用)
感想
それぞれの関係が見える海
夏休み!水着回!
ということで茉白が夏休みになったら海に行きたいと言います。
しかし、茉白の体調(と自分の勉強)を理由に海に行くことを最初は断ります。そのことでちょっとした喧嘩になり、数日口を利かなくなります。
声を荒げる2人の場面があるのですが、似ています。どっちも可愛い。
お互いのことが好きだから怒った喧嘩なので、本人たちからしたら一大事ですが、外から見ている分にはすぐに戻るだろうという安心感がありました。
結果的に凪紗の提案により、保険医の先生(朱里)含め皆で行くことで海に行くことになります。
凪紗の最初のイメージが自分で全てなんとかしようとする感じだったので周りに頼っていることが新鮮に感じました。茉白と出会って変わったことを感じました。
海にきたメンツですが、茉白と凪紗の他に凪紗の従姉妹のゆか姉、凪紗の妹たち、保険医の朱里とクラスメイトの宇田のここまでは流れからわかります。(ゆか姉は運転手として)
生徒会長こと南条と凛理も(凪紗が誘ったかどうかはともかく)一緒に海に来ていました。一気に湿度が高くなりましたね。
そんなメンツですが、それぞれ分かれて海を楽しんでいました。
凪紗・茉白組はお互いに「好き」と言い合った仲とはいえ完全に恋人同士の距離感でした。
お互いがお互いでドキドキしているのは見ていて癒やされます。
南条・朱里組は雰囲気が完全に大人でした。
今回この2人の絡みが出てくるのはこの場面の2ページ程度のみですが、それでもすごく印象に残ります。南条が朱里の肩に寄りかかっているだけなのにもう雰囲気が尊いです。
凛理・宇田組は今のところ、恋愛的な気持ちは感じませんが、だからこそお互い遠慮なく言える距離感が良いですね。
海に来てすぐはまだ暗くて儚い雰囲気を放っていた凛理ですが、宇田と一緒に海に入ったときの水を怖がっている顔は申し訳ないですが可愛かったです。
宇田も最初は子供っぽく遊びたい雰囲気を前面に出していましたが、怖がっている凛理をみて安心ようにハグをする様子は大人に見えました。(原因も宇田ですが)
まだ自覚していないだけで宇田は凛理のことが好きになっているんじゃないかと思います。自覚した時一旦距離を置きそうですが…これからどのようになっていくのか楽しみです。
浮き沈みの激しい凛理さん
海のときの宇田と凛理も好きなのですが、凪紗との会話も好きでした。というかここで一気に好きになりました。
まず見開きからの動物にデレる凛理。可愛い。
そのあと恋バナをしようと凪紗を誘うのですが、理由が「一人で抱えきれない気持ちを聞いてほしい」というもの。闇が深い。
「恋バナをしよう→抱えきれない気持ちを聞いてほしい→好きなところを話したい」
の気持ちのジェットコースターは面白かったですね。最初ちょっと怖そうな人みたいな登場からは考えられないです。冷たいと言われていた先輩はどこ?
まあそれは気持ちの整理がついていないことと同義なんだろうなと思います。吐き出す場がないからこそ気持ちが浮き沈みしてしまっているのだと思います。
そう考えると凪紗のように聞いてもらえる人が出来たというのは、吐き出して気持ちの整理を進めることが出来る予兆ではないでしょうか。
それを聞く凪紗のメンタルはドンドン削られていきそうですが。
個人的にすごく魅力的なキャラに感じましたので救われてほしいです。宇田に頑張ってもらわないといけないですね。
特別な好き
海から数日がたち、茉白は凪紗の家に遊びにいきます。そこでちょっとした理由から凪紗の卒業アルバムを見ることになります。
というか、いつの間にか自然に家に行けるような仲になってたんですね。凪紗は知らなかったみたいなので茉白が急にきたからでしょうが。
こういうところからも2人の関係性が特別ということが読み取ることが出来ますね。
茉白が凪紗が『何考えているか時々わからない』と考えていますが多分勉強か茉白のことしか考えていませんよね。特に茉白といるときは9割ぐらい茉白可愛いとかしか考えていない気がします。
そこで茉白は凪紗と以前会ったことがあることを知ります。
茉白を助けたことにより凪紗が志望校に行けなかったことを知った茉白は、凪紗の近くにいては行けないと思い、その場から逃げるように帰ります。
自分の好きな人が自分のせいで不幸になったと思ったら耐えられませんよね。
元々茉白は体が弱くて、そんな自分が嫌いだったことからその気持は余計に強いと思います。
だとしても、凪紗が今の茉白と一緒にいるのはなぜかと考えたらもう少し話を聞いても良かったんじゃないかなと思いました。
まあ、作品によっては、復讐のために嫌いな人と一緒にいるためとかあるからですね…一概に正解の行動なんてわからないです。
私だったらと考えるとやっぱり一度話を聞いていると思います。ちゃんと話を聞かないとわからないことが多いからですね。やはり対話は大事(ほぼ全ての作品に言えますが)
凪紗ははじめはすぐに話していなかった後悔から動けなくなってしまいますが、それでも茉白の側にいたい気持ちから茉白を追いかけます。
すぐに再開した2人はお互いの思いを改めて話し、お互いがお互いのことを『特別な好き』であることを伝えます。
それぞれ抱えていた思いをお互いに伝えることが出来たというのが最高に良かったです。
お互いに告白をして、茉白がキスをしたいといいます。凪紗は恥ずかしがって断ろうとします。
その解決策としてアイマスクをつけましたが、これ一体何のプレイなんでしょうか…。初心者にはレベルが高い。
そんな少し笑えるところも踏まえつつお互いに『大好き』を伝え合うのを見て心が癒やされました。このまま幸せになって欲しい。
とここまで良かったと言う気持ちで読んでいて改めて思ったのですが、茉白が凪紗のことを『特別な好き』と意識し始めたのはどのタイミング何でしょうね。
2巻の時点で思っていましたので、その前だと思うのですが、あまりはっきりしたシーンはなかったように感じます。今回で以前助けてもらったことを知っていたというわけでもなかったですし。
そのあたりのことも今後語られるときはあるのでしょうか。それとも私の読解力が純粋に足りていないのか…。
そのあたりも楽しみにしていきたいです。
終わりに
というわけで『アネモネは熱を帯びる』3巻の感想でした。色々と濃くなってきましたね。
凪紗と茉白が『大好き』と言い合ったということもありますので、ここまでが第一部というところでしょうか。
ところで凪紗と茉白、『大好き』と言ったり、キスはしましたが、ちゃんとした告白や恋人になったといったことは言ってないような気がします。サラッと『彼女になる』と茉白が言っただけです。
このあたり凪紗は気にしそうな気がしますが…気のせいでしょうか。
今回の個人的推しポイントは
- 海から見える人間関係
- 凛理先輩可愛い
- 思いを伝え合う凪紗と茉白
ですね。メインだけでなく周りもいいのでぜひ好きな子を見つけてほしいです。
メインの関係性は確定したので、各キャラの関係性、矢印の方向性もはっきりしてきてそれを進めていくのがこれからの話になるのかなと思います。
若干湿度高めに感じてきたことにより「濃厚百合物語」がより重たくなって来ましたね。
これからもっと重くなっていくことを期待したいです。
それではまた次の作品で。
あとがき
凪紗に以前あったことを知って茉白が泣いてしまったときの表情が闇落ちした感じがしてちょっとゾクッとしました。
今回のイラストで好きなのはやはり水着ですね。『episode15海』の全員の水着姿と反応が個性が出ていて好きです。
個人的には凪紗が選んでもらった水着とはいえ、シンプルなのはそのとおりだと思いました。機能性とか動きやすさとか重視してそうな感じです。失礼ですかね。
南条と凛理はそれぞれ想い人に水着姿を見てもらうために色々考えたんでしょうね。
凛理はイラスト時点でもう南条のことしか見てないですし。
水は苦手だけど見てもらいたいから頑張って水着を着て海に行くことを選んだ凛理のことを考えると応援したくなります。
でも報われる未来が見えない…宇田に救ってもらうしかない。
みんなが幸せになれる終わり方になることを祈るばかりです。
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