
はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介する作品は、二月公先生著、さばみぞれ先生画の「声優ラジオのウラオモテ」3巻です。
今巻は「声優・歌種やすみ」の話が中心になっています。
今までは由美子が語り部になっているとはいえ、基本千佳が話の中心になっていたように感じます。
それが前回で一段落したからか、由美子の仕事事情が中心になっています。
そんな中舞い込んだ大きな仕事に意気込みながらも、うまく行かない日々に落ち込んで行きます。
自分にも刺さることが多かったのですごく由美子を応援したくなりました。
いつものラジオコーナーもたまに「アイドル声優」のときのバージョンもあって面白かったです。
こういうの現実でもあったら面白いんだろうなと思います。(少し間違えたら大炎上ものですが)
そんなさらに盛り上がりを見せた3巻でした。
作品名 | 声優ラジオのウラオモテ#03 夕陽とやすみは突き抜けたい? |
作者 | 二月公 |
イラスト | さばみぞれ |
発行 | 2020年11月10日 |
定価 | 715円(税込) |
発行 | 株式会社KADOKAWA(電撃文庫) |
あらすじ
色々あった炎上事件や声優人生を賭けた事件からしばらく経ち、ようやく日常が戻り始めていた由美子と千佳。
しかし、由美子は仕事が取れないことから焦りを感じていた。
そんな中、とある大きな仕事が舞い込む。
やっとの思いで大きな役に行き込んでいたものの、自分と周りのレベルの差に落ち込んでいく。
それでも事務所のマネージャーや友人、そして相方であり、ライバルの千佳の助けを借り、先へ進んでいく。
その先に待つ千佳に追いつくために。
突き抜けたい高校生声優コンビが送る声優ラジオ、第3回。
感想
由美子に舞い込んだ大仕事
千佳の炎上から声優人生をかけた事件からしばらくが経ち、徐々に平穏を取り戻していた由美子。
ラジオも思いの外好評を得ていて順調…とはなっていなかったです。
というのも、本職である声優としての仕事が取れない、という状況になっていました。
声優という仕事を知っている人や、声優が出ているテレビなどを見たことある人は知っているかもしれませんが、アニメのキャラはオーディションであることが多いです。
それは、この作品でも当然同じです。
もともと、仕事が多くなかった由美子ことやすみですが、声優4年目が近づいてきて、更に危機感を感じていました。
今回特に言及されませんでしたが、「アイドル声優」としての顔がなくなったというのも一つの原因かもしれません。
そんな中、とある仕事が舞い込んできます。
それは、千佳こと夕陽が主役を演じている作品、「幻影機兵ファントム」の夕陽のライバル役でした。
不思議な縁によって役に選ばれた由美子は、いつもと違うキャラでありながら、その仕事に取り組みます。
しかし現実はそう上手く行かず、最初の現場では先輩声優『大野真里』(大野)に叱られます。
仕事がうまくいかず、落ち込む由美子でしたが、加賀崎や乙女、そして千佳の言葉を受け、仕事に取り組んでいきます。
仕事がうまく行かなくて、落ち込む由美子の気持ちもわかりますが、それと同じくらい、大野が由美子に言った言葉も刺さりました。
「(前略)くっらい顔で落ち込んでいる奴が隣にいてみ?こっちまで気が滅入ってくっしょ?言っちゃなんだけど、空気最悪だった。すげーやりづらかったよ。自分ができないだけならまだしも、人の演技の邪魔しちゃダメでしょ」
『声優ラジオのウラオモテ』3巻より引用
職種は違いますが、私自身やってしまったこともありますし、感じたこともあります。
アニメという仕事もそうですが、基本的にいろんな仕事は一人で完結せずに色んな人が集まってできるものです。
そんな色んな人が集まる中で、仕事中の空気感というのはすごく大事です。
空気が良ければ、それぞれの効率が良くなりますが、悪くなれば全体の効率が落ちます。
その空気は一人良ければ段々と良くなりますが、同じように一人の空気が悪ければ全体の空気が悪くなります。
空気というのは一人から伝染するものです。
なので、どんなに嫌なことがあっても「外に出さない」というのは大事だと思っています。
という私も、ついつい漏れ出してしまうことが多いですが。
大野のこの台詞を読んで、すごく自分にも刺さりました。
こういった、仕事をする上で必要なことも改めて知ることができる作品だと実感しました。
逆に、こういったことで叱ってくれる人というのも大事だと思います。
じゃないと、何もわからないまま、成長できないからです。
この経験があったからこそ、由美子のラストの演技に繋がったんじゃないかと思います。
こういう「大事なことを言ってくれる」先輩というのは、とても貴重な人ですし、私自身そうなれるように頑張りたいです。
クリスマスにて
個人的にこの巻で語りたいことがもう1つありました。
クリスマスイブのクリスマス会に参加する由美子と千佳です。
この日は、クラスでクリスマス会ことカラオケ大会がありました。
そこに参加することになった由美子と千佳。
当然(失礼)そこまで乗り気じゃなく、歌おうとしない千佳でしたが、由美子が千佳を刺激することによって、千佳に歌わせることに成功します。
その結果、クリスマス会は大盛りあがりで終結します。
クリスマス会の後、由美子が千佳にクラスで盛り上がることの楽しさについて聞きます。
千佳の解答は、「楽しかったけど進んで参加しない」というものでした。
しかし、そこに加えて一言本音が漏れました。
「川岸さんには悪いけれど、これなら、あなたとふたりの方が気楽でいいわ」
『声優ラジオのウラオモテ』3巻より引用
こういう、つい本音がポロッと出てしまうシチュエーションが大好きなんですが、求めていたものがここにありました。
やはりこれは百合作品かと改めて感じた瞬間でした。
固まってしまう2人の反応も合わせてとても良かったです。
おわりに
ということで、「声優ラジオのウラオモテ」3巻の紹介・感想でした。
「お仕事物」と「百合物」を同時に堪能することができる良質な巻だったと思います。
さて、個人的オススメポイントとしては、
- 声優・やすみの苦悩と成長(3巻全体)
- 本音が漏れる千佳
- イベント後の焼肉会
です。
やすみの苦悩と成長については感想でも触れていますが、3巻全体を通してのテーマだったように思います。
仕事としての苦悩とそこを乗り越えた成長。
特に最後の殻を破ったような、表現がとても良かったです。
やっぱり由美子には才能あったんだと改めて実感した巻でした。
千佳の本音については感想でも語っているので省略します。
とりあえず、最高でした。
焼肉回について、今巻では由美子、千佳、乙女、めくるの4人で焼肉に行っています。(経緯は読んでみてください)
この4人で、特にめくるが一番面白かったです。
というか、今巻出番が少ないはずのめくるですが出るたび何かしら爪痕を残しています。
これが人気のある声優というものでしょうか(絶対違う)
そして乙女はいつもどおりの乙女です。
ここまでくると裏の顔があったらびっくりします。
これから先に出てくるのか、やっぱりこのままなのか。
もっと乙女にも出てきてほしいですね。
事件が一段落した後ですが、今巻でさらに熱量が上がったように感じます。
最新刊までまだ先は長いですが、できる限り早く読んでいきたいです。
あとがき
なんか今回、いつも以上に素が出ていたように感じます。
段々百合作品に染まってきましたでしょうか…
さて、今回のイラストですが、ラジオ第35回後です。
不機嫌な千佳とそれを見てニヤけけている由美子のイラストです。
ある意味いつも通りの2人の関係性とも言えます。
不機嫌な理由はできれば読んでもらいたいです。
この2人の関係性、そしてこの作品がある意味「百合作品」ということを改めて実感したシーンとイラストでした。
この話と繋がっているラジオ第35回も面白いです。
それではまた次の作品で。
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