はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介する作品は、うの花みゆき先生の「雪と墨」2巻です。
実質ネネオの過去編になります。
ネネオの過去が辛すぎました。
普通に病気の描写もグロテスクでした。
暴力的だったり、グロテスクだったりと結構人を選ぶ作品だと今巻で改めて感じました。
私自身はこういう重い話は好きなのでとても良かったです。
ハルバードがいないと終始暗い雰囲気になっていたと思いますし、話も進まなかったと思います。
ハルバードが優秀すぎる。
フレイヤもネネオのために頑張っていたところがとても良かったです。
メインがみんないい人なだけに周りの環境の辛さが際立ちます。
もう少し明るくなってもいいんじゃないでしょうかね…(淡い希望)
ネネオの過去のしんどさとフレイヤとの関係の尊さのバランスがとても良かった巻でした。
個人的オススメポイント
- 病気と向き合ったネネオの辛さ
- ネネオのために頑張るフレイヤ
- それまで以上の関係になっていくネネオとフレイヤ
作品名 | 雪と墨 2 |
作者 | うの花みゆき |
発行日 | 2023年6月20日 |
定価 | 759円(税込) |
発行 | 株式会社KADOKAWA(ヤンマガKC) |
あらすじ
家督争いに破れ辺境に追いやられた令嬢のフレイヤと罪人として、処刑されそうになっていたネネオ。
2人はお互いの境遇を話し合い、お互いがお互いの居場所となっていた。
そんな2人の前に現れたフレイヤの元婚約者のハルバード。
彼はネネオの故郷の病気について調査したいと思い、ネネオに協力を依頼した。
ネネオたちは協力することになり、3人でネネオの故郷に向かうことになる。
それはネネオにとっては、辛い過去を思い出させることだった。
精神が削られていくネネオとそれを支えたいと思うフレイヤ。
複雑な思いを抱えてネネオの帰郷の先は…。
追放された令嬢と大罪人の物語、第2巻。
感想
病気と向き合ったネネオの辛さ
最初に書いたように、今回はネネオの過去編がメインになります。
ネネオがなぜ大罪人になったのか、その真実について語られます。
村一つが滅んでしまうような病気の蔓延というのは恐ろしかったです。
現代でもコロナで街を封鎖したとかあったと思うので、あながちフィクションじゃないなと思いました。
というか歴史を見返したらそういうことって何度かあったと思います。
しかもその病気が想像以上にグロテスクでした。
内容としては「生きたまま腐っていく」ような感じです。
しかもしばらくは元気なままで、少しづつ腐っていって、手や足がボロボロになっていくものです。
耐性がない人にとっては吐き気がするかもしれませんね。
少なくとも食事中に見るようなものじゃないです。
これを見たら、ネネオが肉を食べられなくなった理由がよくわかりました。
ネネオが心を病んでいることがわかりましたし、大罪人として死にたいというのも理解できて苦しかったです。
それだけにネネオに対して悪意を向けていた人たちに対してさらにイライラしてきましたね。
ネネオが真実を知られないために色々していたので仕方ないことなのかもしれませんが、「何も知らない」のにそこまで悪意をぶつけられるかと思いました。
こういうことって現代のSNSと同じだと改めて感じました。
ここまで犯人に同情するような事件というのは、基本的にはないと思いますが。
そんな苦しい思いをしてきたネネオですが、今巻を通して少しだけ乗り越えられたような気がします。
このままフレイヤを幸せになって欲しいと心から思いました。
ネネオのために頑張るフレイヤ
前回からネネオのことが好きと告白し、ずっと一緒にいたいと思っているフレイヤ。
その覚悟が今回すごく出ていました。
女性の体力じゃ行くのもきついだろうネネオの故郷に一緒に行き、ネネオのが倒れそうなときは支えていました場面が印象的でした。
フレイヤにとっても心の支えになっていて、ネネオにとっても心の支えになっていることが伝わってきました。
逆に本当に元令嬢なのか疑問に思うほどです。
1巻では表情が乏しい感じでしたが、今巻は表情豊かになっているようにも感じました。
そのほとんどがネネオ絡みなので、本当にネネオのことが好きなんだと感じました。
一方で、ネネオに依存しすぎているところがこれから怖いなと思いました。
ネネオの一挙手一投足に振り回されている様になっていたり、ネネオが何を考えているか常に心配しているような感じです。
ネネオ自体、心が病んでいる状態なので、心配する気持ちはわかりますが、自分のことをおろそかにしているようにも感じます。
いつかそれが原因で悪いことが起こりそうとも思ってしまいます。
この作品自体、ネネオとフレイヤの関係性について、『固く結ばれたのか ひどく絡まったのか』などと純粋に愛し合っているような表現はあまりないです。
依存している感じなどの歪さがあるということなんだと思っています。
いつか、この2人の関係が純粋な愛に変わっていったらいいなと思います。
それまで以上の関係になっていくネネオとフレイヤ
それまでの内容のまとめみたいになりますが、今巻の出来事を通して、ネネオとフレイヤの関係性は更に深まっています。
ネネオも自分の弱い部分をフレイヤに見せるようになったり、フレイヤも積極的にネネオに甘える様になっています。
表面上は純粋に愛し合っている男女のように見えますが、直前に記載したように依存が入った危うい関係性のようにも感じます。
ネネオに関しては、過去と向き合って一段落したことから、安定してきているように感じますが、フレイヤはまだ心が不安定なように見えます。
ネネオと一緒にいるときは安定していますが、離れたり不安になったりすると最初のような状態になっているように感じました。
最初は傷の舐め合いのような関係性だったので、それと比べるとだいぶましになったように思いますが、やっぱりまだ歪なように感じます。
2人の関係性上、普通の恋愛を行うということは難しいと思いますが、普通に笑顔で過ごせるような状況に落ち着いたらいいなとお思います。
おわりに
ということで、「雪と墨」2巻の紹介・感想でした。
ネネオの辛い過去がかなり辛かったですが、その後のフレイヤとの会話とか癒やされる場面もあってとても良かったです。
今回ほとんどメインの3人しか話していなかったにも関わらず、物語がどんどん進んでいてよかったです。
そのあたりは、ハルバードの功績も大きいかなと思います。
次回はついにフレイヤの実家が出てくるフレイヤ編です。
ここも一波乱ありそうで怖いですが楽しみです。
あとがき
今巻のイラストですが、2枚セットで紹介します。
第8話の表紙と第9話の表紙です。
この2つは対になっています。
第8話は家族と向き合っているネネオで、第9話はフレイヤとハルバードに向き合っているネネオです。
ベタではありますが、家族が「過去」、フレイヤたちが「現在」ということなのかなと思います。
最初は未来かとも思いましたが、フレイヤのセリフから「現在」という方が近いのかなと思いました。
『私(いま)を選んで欲しい』
『雪と墨』2巻より引用
2人とも未来を見るにはまだ難しい状態だと思いますので、それを踏まえての『いま』という言い方なのかなと思いました。
それをネネオの表情や周りの天気も晴れているので、過去を乗り越えたということなのかなと思いました。
まだ完全に克服したということではないんでしょうけど、前をむけているというのが伝わってきました。
この流れで次巻のフレイヤもうまく行けばいいなと思います。
それではまた次の作品で。
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