はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介する作品は、二月公先生著、さばみぞれ先生画の「声優ラジオのウラオモテ」1巻です。
こちら、KADOKAWAのセールで漫画の1巻を購入して読んでみて、内容にハマってしまい、原作のライトノベルを購入した次第です。ちょろい。
同じ高校、同じクラスの、『渡辺千佳』(千佳)と『佐藤由美子』(由美子)。2人は声優の『夕暮夕陽』(夕陽)と『歌種やすみ』(やすみ)です。
そんな偶然から、2人がパーソナリティとなったラジオ番組が企画されスタートします。
仕事上では仲良くしている2人ですが、性格は真逆の2人は裏では喧嘩をしている…という、個人的には声優ラジオがメインという点以外は王道な物語の入り方だと思いました。
2人の「裏の顔」を知っている状態でみるラジオパートは、逆にどんな表情で取っているのか想像するのが楽しかったです。若干顔が引きつってそう。
そんな中、「アイドル声優」としての2人の苦悩もしっかりと書かれていてとても良かったです。
そして、大きな事件を乗り越えて絆を深めた…かと思っていたら大きく変化しなかったですね。この2人が仲良くなるのはまだまだでしょうか。
まだまだ読み始めたばかりで最新刊まで先は長いですが、アニメ化が決まっているので、始まるまでには読んでいきたいです。
作品名 | 声優ラジオのウラオモテ #01夕陽とやすみは隠しきれない? |
作者 | 二月公 |
イラスト | さばみぞれ |
発行 | 2020年2月7日 |
定価 | 693円(税込) |
発行 | 株式会社KADOKAWA(電撃文庫) |
あらすじ
「夕陽と~」「やすみの!せ~のっ」
「「コーコーセーラジオ~!」」偶然にも同じ高校に通う仲良し声優コンビ、夕暮夕陽と歌種やすみが教室の空気をそのままお届けしちゃう、ほんわかラジオ番組がスタート!
「あーあ、何であんたみたいな根暗女と」
「うるさいお猿さんね、私だって嫌よ」ーでも、パーソナリティふたりの素顔は、アイドル声優とは真逆も真逆、相性最悪なギャル✕根暗地味子で…⁉
オモテは仲良し、ウラでは修羅場、収録が終われば罵倒の嵐!こんなやつとはコンビなんて絶対無理、でもオンエアは待ってくれない……!プロ根性で世界をダマせ!第26回電撃小説大賞、堂々の《大賞》受賞の青春声優エンタテインメント、NOW ON AIR‼
『声優ラジオのウラオモテ #01夕陽とやすみは隠しきれない?』 より引用
感想
「ウラ」と「オモテ」のギャップ
今作ですが、二月先生曰く、『物凄く相性の悪い人とラジオをやることになったら、すごく大変そう』という考えから生まれたとのことです。
その話の通り、本作主人公の千佳と由美子は性格が全く反対の「根暗女子とギャル」です。悪口じゃないですよ。
さらにその2人のアイドル声優としての姿である夕陽とやすみも、本人たちと性格が真逆です。でもアイドル声優としての2人は仲良しという設定。地味にややこしいですね。
そんな「本来の自分を隠すこと」についても、この作品のテーマなのかなと思っています。
作中においても、特に千佳については「本当の自分」と「アイドル声優としての自分」のギャップについて考える場面が何度かありました。
その中の公開録音の話はとても印象に残っていて好きです。
アイドル声優としての「夕陽」の魅力が分からないため、お客さんが何を求めているか分からずどうすればいいのか戸惑っている千佳。
そんな千佳に対して由美子がしたアドバイスが『プロとしてお客さんが求めているものを求められるまま出す』ということでした。
これって、普通の仕事にも言えることだと思うんですよね。
お客さんから求められたことに対して、自分の力を出してお客様に与える。
普通の仕事だったら何が求められているかは決まっているので、多少意味合いに差があるでしょうが基本は同じだと思っています。
個人的にそれに付け足すとすれば、求められている以上のことでお返しできれば、自分のファンになってついてきてくれるんじゃないかと思います。
私自身のことにもなるのですが、基本の仕事にプラスしてお客さんに喜ばれることをすると、「またお願いしようかな」「この人なら信用できる」と思われるし、思ってくれると思います。
私事にずれてしまいましたが、こんなふうに、まずは「求められているものを求められるまま出す」という気持ちはすごく心に刺さりました。
お互いに対する感情
全く正反対の千佳と由美子ですが、口に出さないながらもお互いのことを認めているところがところどころ描写されています。
特に今巻では語りが基本由美子の一人称となっているので、由美子の千佳への気持ちが多く描写されていました。
最初は直前の会話が最悪だったことから割りとキツめの悪口を言っていた由美子ですが、千佳の仕事に対する姿勢や気持ちを知っていくことによって、少しずつ心を開いていきます。
一番大きく変わっていった場面は、さっきも出ましたが公開録音の時ですね。
最初の山場で、お互い本音で仕事に対するスタンスを出したからこそ、お互いに歩み寄ろうとなったんだと思います。
千佳もこのあたりから、言葉のキツさは変わらないながらも積極的に由美子に声をかけたり、褒めることが多くなっていったような気がします。
「嫌よ嫌よも好きのうち」といいますが、ここまで正反対だった2人が少しずつ歩み寄っていくのは見ていて微笑ましく感じました。本人たちに言ったら怒られる類のやつですが。
最初の方は完全に罵倒だったものの、色々あった後半以降については、ある意味信頼からなる悪口にも感じてきます。口の悪さはあんまり変わってないですが。
ここまで来ると逆に仲いいですよね。
なんだかんだこうしたお互いのことを色々言い合いながらも腐れ縁的に一緒にいる関係は好きなので、これからもこんな感じで一緒にいてほしいですね。
ラジオパートについて
本編の途中に入ってくる『夕陽とやすみのコーコーセーラジオ』パート。話の内容を知って見るとどんな顔をして取っているのか想像するだけで面白いです。
個人的に実際にあったら面白そうだとは思いますが、人気が伸び悩む状況になるというのもなんとなくわかるなって感じでした。
2人の中身を知っているからというのもあると思いますが、中身がこもってないというかすごく内容が空っぽに感じるんですよね。
まあ、『高校生2人が教室の空気をお届けするラジオ番組』というコンセプト的には大きく間違ってないんでしょうけど、本当にこの2人が好きなファンじゃないとついてこないというのもわかります。
それだけに、今巻ラストの第24回のお互い素でラジオをしている時は、ページ数もあったからかもしれませんがそれまでのラジオパートより面白かったです。
お互いそれぞれ本音でしているからなのか、こっちのほうが『教室の空気』って感じがしました。
こっちが人気がでるの、個人的にはすごくわかるなって感じました。
変に無理してキャラを作るよりも素の部分が見えるほうがいいのかなと改めて思いましたね。
おわりに
ということで、「声優ラジオのウラオモテ」1巻の感想でした。
今回の個人的推しの場面としては
- 公開録音直前の夕陽とやすみ(P98)
- 2人の出るアニメの白箱をみる2人(P175)
- 2人のお泊まり会(P213)
です。どちらが好きというのではなく2人で絡んでいるのが好きですね。
少しずつ心の距離が近づいていく関係はみててじれったくなりますが王道なのでとても好きです。
すごく今後が気になる終わり方をした今巻でしたが、これから2人がどのように声優業界を進んでいくのか楽しみです。
それではまた次の作品で。
あとがき
最近、新刊ではなくちょっと前に出た作品を押すことが多いですね。
一番はタイムリーな作品について書くことだと思いますが、流行に乗り切れない私はこんな感じで一周くらい遅れてしまいます。
こういう系統の作品を好きになったのも最近ということもありますが。
ただ、面白いと感じた作品については、最近のもちょっと前のも関わらず積極的に紹介していきたいと思います。
後はもっと感想なり内容を充実させていきたいです…。
さて、本編になぜかいつも入れずここに書く好きなイラストですが、P107の公開録音のときのイラストです。私公録の話が好き過ぎる。
「夕暮夕陽」としての自分の魅力が分からずお客さんの前に出るのが怖い千佳に対して、励ます由美子の場面です。
そこまで仲良くない、むしろ悪いからこそ言いたいことをはっきりと言っていると感じました。あくまで仕事相手だからこそ変に情をかけること無く言ったんだと思います。
手を握って近づいて、はっきりというこの距離感がとても好きです。由美子自体、人との距離感が近いからこそなんだと感じました。
だからこそ、千佳もその思いを感じられて、それからの態度が軟化していったんだと思います。
挿絵を通してみると、段々と距離が近づいていっているように感じましたね。特に最後は抱き合っていますし、こんな感じで近づいてくのはいいなと感じました。(お風呂は仕事の一貫として勝手にノーカンとしています。)
2巻以降もどんな感じで2人が絡んでいくのか、イラストでも楽しみです。
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