はじめに
週末は自炊をしているのですが、久々に包丁で指を切り、オーブントースターで指を火傷しました。
ここしばらくこうしたことがなかったのでもっと頻繁に家事はすべきかなと思いました。特に火傷いたい。皆さんも自炊をするときは気をつけてください。
こんにちは、トビです。
今回紹介する白石定規先生著、あずーる先生イラストの「魔女の旅々」20巻です。
初めての紹介で20巻ってどうなんでしょうね。本作は短編的な話が多いので問題ないと思いますが。アニメを見た人であれば今回はアニメの範囲がほとんどなので大丈夫です。
ちなみに今作は「ナナがやらかす五秒前」「魔女の旅々 学園」の3冊セットでも販売されています。この2冊についても今後紹介したいと思います。個人的には「魔女の旅々 学園」かなり面白かったです。
ただアムネシアとか出てくるので、コミカライズを読んでいたらより楽しめると思います。
この作品におすすめな人はこのような人ではないでしょうか。
- さっくり読める物語が好きな人
- くすっと笑える話が好きな人
出版 | GAノベル |
著者 | 白石定規 |
イラスト | あずーる |
定価 | 1,320円(税込) |
発行年 | 2023年3月31日 |
あらすじ
あるところに一人の魔女がいました。名前はイレイナ。
長い長い、一人ぼっちの旅を続けています。
今回、彼女が出会う方々は――。
魔物を狩って食材として使う流浪の料理人、
いがみ合う山の国の兵士と海の国の兵士たち、
自分に自信が持てないが心優しい女性、
怪しげな建造物で暮らしている青年、
引退した高名な占い師と熱烈なファン、
そして、人類を知るために旅をする謎の生物……。「あなたも旅をすればきっと分かりますよ」
GA文庫 『魔女の旅々20』より引用
時に戦い、時に導き、旅の魔女は「別れの物語」を紡ぎます。
感想
第一章 魔物の料理人
本作は章ごとに話が異なっているので各章ごとに感想を書いていきたいと思います。
第一章は新キャラ、ママナの登場回です。自称「魔物の料理人」ことママナはありとあらゆる魔物を料理し、食べたいという欲求を持ち、様々な国を巡っては魔物を料理しています。
その過程でイレイナと出会い、一緒に訪れた国で魔物と料理にかかわる事件に遭遇します。
ママナさん強すぎませんか?話で出た経歴が『とある国の有名レストランで働くシェフ』なのに何普通に魔物と戦ってるんですか。そもそも包丁で猪の魔物って倒せるんでしょうか。
某狩りゲーの猪で考えると最低でも肉切り包丁あたりを持ってないと難しいと思うのですがたまたま持っていたにしては殺意が高すぎませんかね…。
その後も巨大な蜘蛛だったりタコだったりとやってることが完全に某狩りゲーとかそっちなんですよ。出てくる世界間違えている感がすごい。
ただ最終的に料理で食べた人が幸せになったり、争いを終わらせたりとそのあたりは料理人ということを感じました。美味しい料理は世界を救う。
第二章 山と海の兵士たち
この話は「ウイスキー戦争」が元ネタとのことです。
ウイスキー戦争
ネアズ海峡に位置するハンス島の領有権を巡り、カナダとデンマークによって争われた領土紛争の俗称である。この領土紛争は、1973年12月17日に両国間の海洋境界線が画定してから、2022年6月14日にハンス島を分割領有することで合意するまで続いた。
(引用元:フリー百科事典 Wikipediaより https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E6%88%A6%E4%BA%89)
上記のような経緯から「最も消極的で積極的な戦争「最も有効的な戦争」とも言われているようです。
第2章はどちらからというわけではなくアムネシアとアヴィリアの忘れ物によって引き起こされたものですが、巡り巡って平和になっています。
「やられたらやり返す」がいい方向で使われた結果です。
こんな感じで他の戦争も平和的に終わればいいんですけどね。
第3章 優しい優しいフロレンス
この章には新キャラクターのフロレンスが登場します。彼女は作中何度も繰り返されていますが「優しい子」である「いい子」です。
様々な作品においてよくあることなのですが他人にとっての「優しい子」と言うのはその人にとって「都合がいい子」と見られます。フロレンスも同様でした。
この章ではその優しさにつけ込まれてフロレンスは犯罪の片棒をかつぐことになります。
こういうことは実際に現実でもあることなのでバカにはできないですね。
不勉強だからやなんで騙されるのかと思う人もいると思いますが、「他人に取っての価値が自分の価値」と考える人に取っては、他人に褒められることによってここにいることが許されるような気持ちになるんですよね。
たとえ自分がやりたくないと思っていてもそれで自分の居場所を失いたくないから気持ちを殺してしまうことは特に自己肯定感が低い人にはあることではないでしょうか。
私自身、自己肯定感が低い人間なので、人にいい顔したくてやりたくないことをしたり、いい人を演じていたりしていました。
なので、フロレンスのしていたことは間違っていたとしても共感していました。
自分の罪を償うため、行動していたときに本当の才能が開花するというのは熱い展開でしたね。
才能がないと思っていた人が持っていたその人だけの才能によって解決する流れは鉄板ではありますが心打たれます。
今回もイレイナのお人好しさから起こった出来事でした。イレイナさんまた新しい女の子を落としましたね。サヤさんが見たら怒りそうです。
フロレンスは街に残るので今後の出番があるかどうかわかりませんが、個人的には好きなキャラクターだったのでどこかで再登場して欲しいです。
第四章 効果的に物を売る方法
短編です。箸休め回ですね
白石先生があとがきで語っていますが「物は言いよう」という話です。
と言うかにんにくの大きさは半分になっても匂いは半分にならないような気がするのは気の所為でしょうか…。
第五章 備えがあれば
木の上に家を作った男の話です。
元ネタは孔子の言葉の一つである『過ぎたるは及ばざるが如し』とのことです。
何をするにも、いき過ぎになっていると、それがどんなに良いことでも、むしろ不足ぎみや、不満足な状態と変わらないのです。過度になってしまうようであれば、むしろ控え目にしている方がよろしいようです。
(引用元:故事百選「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」よりhttps://www.iec.co.jp/kojijyukugo/vo05.htm#:~:text=%E4%BD%95%E3%82%92%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AB%E3%82%82,%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E4%BA%BA%E3%81%8C%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82)
つまり、やり過ぎると良くないですよってことですね。何事も程々が一番です。
私自身、一人暮らしをしていますが、食費の節約のために晩ごはんを抜いたり、電気代節約ため、熱くてもエアコンをつけなかったことがあります。
その結果、熱中症になり、のどの水分がなくなって呼吸ができなくなり死にかけた事がありました。
何事も程々が一番です。
第6章 伝説の占い師
キャラクター名として出てきていないのですが「ホテルの従業員」(先輩)が登場する回です。今回で一番キャラクターデザインが好きです。
とある国の宿屋で起きる事件(?)の話になります。どの世界でも有名人のサイン入りのカードはプレミアがつくものなんですね。
魔女の旅々では時々茶番劇っぽい話があって面白いです。
個人的にこの話の挿絵のホテルの従業員さんのイラストが好きです。美しすぎませんか…。
第7章 スライムの話
スライムことスラ子さんが登場する回です。何も覚えていないスライムとイレイナさんの出会いから始まります。
スラ子は子供のように「あれは何だと」何でも聞いてきます。
最初はイレイナに聞いていたスラ子でしたが、次第に他の人間にかかわることで一気にいろんなことを覚えていきます。その過程で人の姿をします。
途中大道芸人(実質的には便利屋)になり、お金を稼ぎながらスラ子は人間を知り、イレイナはスライムについての情報を集めます。
その過程でスラ子の正体が判明し、訪れた国にいた別のスライムに会いに行くことになります。
その後の結果についてはここでは省略させていただきます。ネタバレもネタバレですので。
作者より、この話はAIを意識したりしなかったりとのことです。
AIが仕事を奪うや最近はチャットGPTが話題になったりと昨今AIと人間の共存について考える機会も増えてきたのかと考えています。
ChatGPT
OpenAIが2022年11月に公開した人工知能チャットボット。原語のGenerative Pre-trained Transformerとは、「生成可能な事前学習済み変換器」という意味である
フリー百科事典Wikipediaより引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ChatGPT
今回のスラ子の話のように対話し、お互いを知り、共存していくと言うのは実際にAIと起こりうる未来ではないでしょうか。
「AIに心や感情があるか」という命題については色々な媒体で話がされていますが、この話のように「利用する」といった考え方では共存してくのは不可能でしょう。
この話は人間とスライムというどちらも思考する生物同士ですが、AIについても同じだと思います。
今後どんな仕事でもAI技術については使われていくことになるでしょう。その中で都合よく利用するのでなくお互いを活かし合うような社会になってほしいですね。
ちょっとだけ真面目に話しましたが最後にスラ子がスライム研究の責任者を殴ったのはスッキリしました。ムカついたやつはぶん殴るに限りますね。
『旅をして、世界を見る度に私は少しずつ物事を学んでいきます。そうして学べば学ぶほど、視界にとどまる物が多くなる。目に留まるものが多くなるほど、新しい道を歩むことが楽しくなる。その度に世界の広さを実感して、私は嬉しくなるんです』(魔女の旅々20 P214より引用)というイレイナ言葉は心に響きますね。
あくまで上記はイレイナが旅をする理由ではありますが、新しいことを知るというは本当に嬉しいことです。
私自身新しい本との出会いは心踊るものです。これとは少し違うかと思いますが、すごく共感しました。
おわりに
というわけで、「魔女の旅々」20巻の感想でした。
魔女の旅々は救われない話も多いですが、今回は明るい話が多めでした。笑える話が多かったので面白かったです。
この巻単体でも楽しめると思います。新しいキャラも良いキャラをしていた面白かったです。これからも応援していきたいと思います。
それではまた次の作品で。
あとがき
何回見ても思いますが、あずーる先生のイラスト可愛いですよね。
感想でも出ましたが、「ホテルの従業員」が今巻の一番の推しですね。
キャラクター紹介のカラーイラストは目の色とか紹介文を読むと裏がある怖い人かと思っていました。(白石先生の作品だから…)
実際話を読んだらただのいい人じゃないですか。しかも挿絵可愛い。私も占われたいです。
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