はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介する作品は、紫のあ先生の「この恋を星には願わない」1巻です。
『冬葵』と『瑛莉』と『京』の幼馴染3人の人間関係を中心に描かれている作品です。
個人的には百合作品に分類されると思っているのですがどうなんでしょうかね。そういう作品で幼馴染の男子ってあまり出さないイメージがありますし。
でも冬葵の瑛莉を思う気持ちは間違いなく恋だと思いますし、瑛莉も冬葵に対して恋人よりも大切という姿勢なので友達以上に思っています。
本編で特に感じたのは、冬葵にとって「一番の友達」と言う言葉がある意味呪いのようになっていると感じました。
お互いを思っているからこそそれ以上にならないように離れていると感じました。
こういう関係って本人が歪に感じているから長くは続かないと思いますし、逆に悪くなっていく可能性が高く感じますが…見てるこっちがハラハラしてきます。
この関係がどこに向かっていくのか、これからも見ていきたいと思う作品でした。
作品名 | この恋を星には願わない |
作者 | 紫のあ |
発売日 | 2023年6月15日 |
定価 | 770円(税込) |
発行 | 株式会社KADOKAWA(it Comics) |
あらすじ
それぞれの「好き」が交錯する、美しく淡いラブストーリー
幼い頃からいつも一緒に過ごしてきた冬葵と瑛莉と京。
これまでずっと友達としての関係を続けてきたが、冬葵は瑛莉に対して友達以上の感情を抱いていた。
そんなある日、3人は久々に遊園地に遊びに行くのだが、そこで冬葵は自身の恋が叶わぬものであると知ってしまいー。
『この恋を星には願わない 1』あらすじより引用
感想
「一番の友達」であり続ける冬葵
叶わない恋だと知りながらも、『瑛莉を安心させる役目』として、『一番の友達』としてそばにいるというのは、自覚はしているんでしょうけどかなり辛いんじゃないかなと思います。
第1話で瑛莉と京がキスをしているのを見た時に雨の中を走りだしてのはそのやりきれない思いが出てしまっています。
このとき冬葵の心情が出ているのですが、辛い気持ちを必死に抑えようとしている用に感じました。最後の『だから これは 涙なんかじゃない』というセリフは特に心を苦しくなります。
いつも通り瑛莉に接しているつもりでも、どこか距離を測りかねているように感じる冬葵。
そんな自分の思いを慰めるように高校の先輩の『黒川』と付き合うことにします。
その慰め方って、自暴自棄とまでは行かないですけど、一種の自傷行為何じゃないかと思ってしまいます。
自分と同じ想いを持っている黒川だからそういう考えに至ったんでしょうけど、冬葵の心が壊れてしまわないか心配になります。
黒川と付き合い始める前の第4話の時点で指に絆創膏を貼っている場面がありますが、自分の爪で指を傷つけている場面があるので自傷行為だと思います。
自分の思いが声に出ないように自分を傷つけてまで隠すのなんだか痛々しいです。
冬葵の場面で特に印象に残っていて好きなのは第5話ラストです。
夜に瑛莉と電話をしているときに、瑛莉が「冬葵が自分から離れていくんじゃないか」と自分の気持ちを話します。
その時の冬葵の返しなんですが、昔自分が瑛莉に言われてた言葉ほぼそのままなんですよね。
さらにラストのセリフで言った言葉が、
『ずっと友達でいたいって 瑛莉ちゃんが言ったんだよ』
『この恋を星には願わない 1』より引用
と、これも昔瑛莉に言われた言葉から来ていて冬葵の瑛莉への重たい感情にちょっとゾクっときました。
この前の第4話にて瑛莉と自分の関係と変化が語られていましたが、恋とかの以前に完全に「依存」でした。
最初は、冬葵が瑛莉に依存しているような感じでしたが現在では瑛莉が依存する立場になっています。
だからこそ上記のセリフは、自分が言われて嬉しかったことを瑛莉に話した、ということだと思います。
多分瑛莉はその時の言葉を忘れているんでしょうね…そう考えると辛いような良かったような…。
この瑛莉に対する感情がどうなっていくか、見守っていきたいです。
瑛莉の冬葵への気持ち
そんな冬葵が思いを寄せている瑛莉ですが、恋人ができてなお冬葵のことが一番と言っています。
その時点で冬葵に対して友達以上の思いを寄せているようにも感じます。
ただ、好意ではなく依存だと思っているので、恋心とは個人的には違う気がしています。
少し悪い言い方をしてしまうと「自分のことを全肯定」してくれる存在として冬葵のことが好きなんじゃないかと思ってしまいます。本人はおそらくそんなこと思っていないでしょうけど。
『私は いつも
私を好きだって言ってくれる人を好きになるから』
『この恋を星には願わない 1』より引用
京とのデートのときに、京を彼氏として見れないと言った後に言ったセリフですが、これが全てなんじゃないかなと思います。
こんな考えになっているのは瑛莉が昔いじめにあっていたことが原因です。
この経験から、人に嫌われること、裏切られることがトラウマになっているんだと思います。
そんな自分が一番つらいときに冬葵が『一番好き』といってくれたから立ち直ることが出来たんだと思いますし、冬葵に依存しているんだと思います。
それにしても一から十まで冬葵に頼っているように感じますが。
個人的に怖いなと思っている展開が、冬葵の思いが瑛莉に知られてしまうことです。
あくまで瑛莉は「友達として」いてくれる冬葵のことが好きなのであって、冬葵の思いが「恋」だとわかってしまったとき、どういう反応になるのか今の私には読めません。
今までの冬葵に対して思っていた感情が「恋」に変わるのか、それとも冬葵から離れてしまうのか…。なんかどっちも有り得そうだと思っています。
物語の展開上、こういうシーンはおそらくあると思いますので、心して読んでいきたいと思います。
そして、京との関係がどうなっていくかも気になります。本当の恋人となるのか、それとも離れるのか。この関係にも注目していきたいです。
おわりに
ということで「この恋を星には願わない」1巻の紹介・感想でした。冬葵と瑛莉がそれぞれに向ける感情が重たいです。
メインはこの2人の関係だと思いますが、冒頭が「3人が過ごした日々」とあるので京もさらに関わってくるんじゃないかと思っています。
あと個人的に黒川のキャラも好きでしたので、これから他のキャラにどのように絡んでくるのか楽しみです。
ということで今巻のわたしの個人的な推しポイントは、
- 雨の中を走る冬葵
- 黒川と冬葵のキス
- メガネをかけた冬葵
の3つです。冬葵好きすぎかよ私。いや本当に好きなんですけど。
特に第4話のメガネをかけた冬葵不意打ちだったのでびっくりしました。レアすぎて可愛い。
ところで、冒頭の京の結婚式って誰と結婚したんでしょうね。
普通に考えれば瑛莉なのでしょうけど、冬葵の可能性もあるんでしょうかね。
京と冬葵の関係性ってよくわかっていないんですよね。どっちも幼馴染ということは出ているのですが、京との話は全然出てきてないと思いますし。
でも家に普通に上っているし、京は冬葵に甘いしで、どれくらいまでの好意か個人的にはいまいちはっきりしませんでした。
このあたりの関係ももう少し考えて読めたらと思います。
もしかしたら京はミスリードで瑛莉と冬葵の結婚式というのもあり得るのでしょうか…。「自分の」って言っていないですし。
先がすごく気になる展開ですので、これからも期待したいと思います。
それではまた次の作品で。
あとがき
あんまりこういうタッチの漫画は読んでこなかったのですが、たまたま買ったらハマってよかったです。
やっぱり思い込みだけで作品を選んだらダメだなと思いました。
気になる作品があったらドンドン読んでいきたいと思うようになりました。
ということで、今回の特にいいと感じたイラストは第3話のタイトル後の次のページですね。
花かんむりをつけて笑っている瑛莉とそれを見ている冬葵です。イラストのシンプルさが好きというのもありますが、色々な意味を感じる事ができるのも好きな理由です。
瑛莉は冬葵に笑いかけているけど目を見ていなくて、逆に冬葵は瑛莉をしっかりと見つめています。
個人的にはそれぞれの思いのすれ違いが表現されているように感じます。
これ最終的にお互いが見つめ合うイラストがでたりするんでしょうか。そしたら最高だと叫びそうです。
私自身考察が外れている可能性は十分ありますので、こういう解釈もあるのかと思っていただければと思います。
もっとうまい考察ができるように頑張っていきたいです。
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