はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介する作品は、雨水汐先生の「欠けた月とドーナッツ」1巻です。じれったく進んでいく関係性っていいですよね。
ちょくちょくでてくるドーナッツが美味しそうです。
自分のことを穴だらけの「欠陥人間」だと思っているOL『宇野ひな子』(ひな子)。
そんな彼女の上司であり、一人でいることが多い『佐藤あさひ』(あさひ)に一人で泣いているところを見られたところから、物語が動き出します。
周りと違う考え方や行動をするって難しいですし、周りと同じになれない自分が嫌になりますよね。そんな思いがよく分かる作品だと思います。
そんな中、自分を持って行動できるあさひはすごいなと感じました。
そんな対称的な2人が少しづつ近づいていくのは、じれったいですが応援したくなります。どちらも自分の思いに不器用すぎる。
2人がもっと自分の本音を言える関係になっていく様子を見ていきたいです。
同作者の作品で現在連載中の『女ともだちと結婚してみた。』も面白いのでぜひ読んでみてください。
作品名 | 欠けた月とドーナッツ 1 |
作者 | 雨水汐 |
発行日 | 2020年1月17日 |
定価 | 937円 |
発行 | 株式会社一迅社(コミック百合姫) |
あらすじ
オシャレをして、メイクをして、恋をする…
そんな「普通」の女性に憧れるOL、宇野ひな子。
しかし、彼女は男性と付き合うという「普通」の恋愛に、自身のなさから一歩を踏み出せずにいた。恋愛に踏み込む恐れと、独りでいることへの不安の間で板挟みなり、夜道であてもなく助けを求めるひな子。
『欠けた月とドーナッツ 1』あらすじより引用
そんな彼女に手を差し伸べたのは、たまたま通りがかった同じ会社のお堅い先輩、佐藤あさひだった…
感想
「欠陥人間」のひな子
普通の恋ができない、人を好きになれない、乗り気じゃないのに周りに合わせてしまう。そん自分のことを「欠陥人間」だと思い、好きになれないひな子。
私自身、自分のことがそんなに好きではないので、ひな子の気持ちがすごく伝わってきました。
ひな子の本心が出てくるところの演出周りが真っ暗になって急に出てくるの少し怖かったです。
自分の本心を隠して周りに合わせるって、ほとんどの人がしていることだと思います。というか本心だけで生きていくことって難しいです。
自分の思いや考えを持って一人で行動できる(ように見える)あさひのような人が少数だと思います。だからこそひな子が惹かれていったんだと思います。
今のところあさひ懐いている犬のような感じにも見えなく無いですが。
そんなひな子が佐藤さんを通して自分のことを好きになっていくというのが、この物語の中心になっていくのかなと思いました。
ひな子で一番好きな場面は、やっぱり一番最後の5話ですね。
会社の同僚に誘われて行った合コンで、いつもは周りに合わせた発言をしていたひな子でしたが、あさひからの『大丈夫です』の一言から勇気をもらって自分の気持を言葉にした場面はあさひからいい影響を受けていると思いました。
そこから空気が悪くならないように話が繋げられるのは、これまで培ってきた処世術みたいなものも感じられてすごいなと思いました。
そこからあさひの家まで行くのは行動力がありすぎて驚きましたが、それをするくらいあさひのことが好きになっていっているのかとも感じました。
ただ、まだその感情には気づいていないひな子がどうなっていくのか、これから楽しみです。
ひな子の心配をするあさひ
ひな子が憧れている先輩のあさひは、会社では堅く話しづらいと思われていることから、一人でいることが多いです。
あさひ自身、自分のことにあまり頓着しないことから、特に気にすることもしていません。
そうして周りの目を気にせずに行動できることってすごく尊敬します。
ひな子もそうですが、大半の人ってどうしても周りの目が気になってしまって、周りの空気に合わせた行動を取りがちです。
その空気感を気にせず行動に移せるあさひに憧れるのはすごくわかるなと思います。
会社ではそんな様子のあさひですが、ひな子と出会ってからはひな子のことを気にすることが多くなっています。
初めて会社外で話したときがひな子が泣いて凹んでいる時だったので、心配してしまうのも仕方ないのかなと思います。
それにしてもドーナッツを会う予定もないのに買っていたり、ご飯食べているのか心配していたり、過剰に意識しているようにも感じます。
それまで他人をあまり意識していなかったという妹のすばるの発言から、本人もひな子に対する気持ちを持て余しているようにも感じます。
会社外のの出会いのインパクトが強かったですし、その後ひな子も積極的に話に行っていることから意識してしまうのはわかりますが、そこまでのきっかけがあったかなとも思います。
単純に、それまで他人と私生活でも関わることが少なかったからというのもあると思いますが、なにか引っかかることでもあったのかなと思います。
そのあたりの気持は今回あまり見えてこなかったので、これから出てくるのか注目していきたいです。
ただ、それ以上にすばるに対する気持ちが今のところ大きいんですよね。
「好きとかどうとか 私には必要ない」
「私はすばるが幸せならそれでいい」
『欠けた月とドーナッツ 1」より引用
こんなことを本人の目の前で言っていますし、本心なんだろうなって思います。
このことに対してすばるも思っていることがありそうなので、これからあさひが自分の気持ちに向き合うのにすばるも行動を起こすと思います。
今回はまだ出番が少なかったすばるですが、これからどのようにひな子とあさひにかかわっていくのかも楽しみです。
おわりに
ということで、「欠けた月とドーナッツ」1巻の紹介・感想でした。話全体がしんみりした感じで進んでいるので心にしみていくように感じます。
一人で落ち込んでいる時に手を差し伸べてくれる人って本当にありがたいですよね。
そんな人が現れたら大事にしていきたいです。
今巻の個人的に好きな場面は
- ドーナッツを食べながら月をみるひな子(P31)
- 皿洗いしながら言い合いをするひな子とあさひ(P94)
- 走ってあさひに会いに行くひな子(P119)
の3つですね。2人でいるときの空気感がとても好きです。
ラストが個人的にはかなりキレイに終わっているように感じますが、全4巻なのでまだ続きます。
ひな子の話が中心だったので2巻はあさひの内側についてもう少し語られるような流れでしょうかね。いずれにしても楽しみです。
あとがき
雨水汐先生のお話は個人的に、ここにしみる話が多いのでとても好きです。
また、今巻ではコマ外の表現が好きです。
夜の場面では黒く塗っていることが多いですが、1話のひな子が泣いているところにあさひがきた場面では、ひな子が顔を上げたコマから先がコマの枠の外も白くなっています。
個人的には「ひな子に光が差した」という場面を表したかったのかなと感じました。
ひな子にとっての光=あさひという用になっていて個人的にとても尊く感じました。
さて、今巻の好きな一枚絵ですが、4話のタイトルが書いてるページ(P102)です。
この日の朝のひな子とあさひの行動を1ページでまとめたものになっています。
このページの内容がそのまま4話に繋がっていて、描かれていない場面が想像できてとても良かったです。
ひな子割り箸であんなきれいな卵焼き焼けるのかなり羨ましいです。味付けは砂糖と塩を間違えていました。
あさひは炊飯器をセットし忘れたと気づいた顔でかなりおもしろかったです。
こういう内容とリンクしたイラストもいいなと改めて思いました。
これからもイラストの内容を感じていきたいと感じた1枚でした。
それではまた次の作品で。
コメントを残す