
はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介する作品は、くわばらたもつ先生の「ぜんぶ壊して地獄で愛して」1巻です。
久々にこういう重めのバイオレンス系を読む気がします。
あらすじにも「バイオレンス青春ストーリー」って書いてあります。
「バイオレンス」と「青春」って合わせていいものなんでしょうか。
そんな今作、ガッツリ暴力シーンが出ています。
なんなら一話で主人公がみぞおちに痣ができるくらい殴られています。
ですので、暴力描写がだめな人はまずやめたほうがいいです。
そんな中、それぞれの抱えているものや人間関係など、心に来るものはありますので、刺さる人には刺さる、そんな作品になっていると思います。
普段紹介する作品よりも過激描写多めですが、こういう暗い話も好きなので、これからが楽しみになる作品です。
作品名 | ぜんぶ壊して地獄で愛して |
作者 | くわばらたもつ |
発行日 | 2023年8月 |
定価 | 825円(税込) |
発行 | 株式会社一迅社(百合姫コミックス) |
あらすじ
主人公の『吉沢来未』(来未)は生徒会長も務める優等生。
だが、学校や母親からのストレスから、破滅願望を募らせていた。
そんな中、先生からの頼みでクラスメイトの『直井』と話すことになるが、そこで自分の胸の内を聞かれてしまう。
さらには万引きしようとした場面を写真に取られてしまう。
写真を消すように頼む来未だが、それに直井が「とあるゲーム」を持ちかけられ…
それぞれ複雑な思いを持つ少女たちがもがいていく、バイオレンス青春ストーリー。第1巻
感想
「母親」の顔を気にする来未
生徒会長を務める優等生の来未。
ですが、それはあくまでも表面上の話であり、その裏では色々と溜め込んでいます。
クラスメイトや生徒会のメンバー、担任の先生…周りの人たちにストレスを抱えていました。
個人的には完璧超人の聖人なんていないと思っているので、いい顔ばっかりしていたらストレスが溜まるだろうなと思います。
周りも来未が「いい人だから」ということを免罪符にしているように感じます。
そんなストレス出さないようにしているのは、母親のためということを感じることができます。
なにかあるたびに『お母さん』がどう思うのかを気にしているように感じます。
この巻だけでは母親は最後に登場しただけなので、どういう人物かはわかりません。
でも、「ただのいい人」じゃないんだろうなということがひしひしと感じられます。
予備校に遅れたときの一瞬出てきた、母親からの連絡を見たら若干「ヒェっ」てなりました。
というか本の帯にも真っ先に『毒親』って書いてある時点で何となく察します。
色々と溜め込んでいった結果、来未の中には「何もかも終わりにしたい」というような破滅願望があります。
その結果、直井に唆されて、作中で色々と犯罪じみたことをしてしまいます。
しかもそれをまるで楽しむかのように。
したことに罪悪感を持っていることも、楽しんでしていることも本心なんだろうなとその時の様子を見ていて思います。
多分、直井から唆されなくても、いつかはやっていたんじゃないかというような黒さを感じます。
こういうのが現実でもあるような、「大人しい子だったのにどうして」ということなんだろうなと思います。
これから、これまでのような優等生に戻れるのか、それとも直井と一緒に落ちていくのか。
作品の内容からしたら後者っぽいですが、これからを見ていきたいです。
来未に絡む直井
そんな来未を脅している直井ですが、こっちもこっちで色々と事情を抱えていそうです。
そもそも最初の時点で「ほとんど学校に来れていない」と言われている時点で訳ありです。
先生も「家庭が複雑」と言葉を濁していますが、あまり関わりたくないんだろうなと感じます。
まだ面談をしているだけいい先生というべきか、来未に遠回しに押し付けようとしているだけとみるか…
そんな状況なので、直井も学校という場所に対して特にこれといった感情は抱いていないように感じます。
来未に対しても、最初は「優等生の悪いところ見つけた」ぐらいの、いいおもちゃが見つかったといった気持ちだったと思います。
その気持ちが少し変わったように感じたのが、第3話で来未が行ったことを見た後だと思います。
ネタバレすると、来未が自分を蹴ったクラスメイトの机に彫刻刀で悪口をかきます。
この状況をみたときの直井の顔がこの巻で一番明るかった気がします。
そして、このときから『吉沢来未』という個人に興味を持ったように感じます。
ある意味、それも「恋」のような感情かもしれません。
自分が楽しむためか、来未のためか。
どんな思いで来未に近づいているのか本心が見えてこないキャラです。
これから、どんなふうに物語を動かしていくのか、怖いですが楽しみです。
おわりに
ということで「ぜんぶ壊して地獄で愛して」1巻の紹介・感想でした。
百合というかバイオレンスしか出てないような気がしますが…
しっかり百合しているの、来未の友達の心ぐらいじゃないですかね。
その心も2巻以降どうなっていくのか怖いですが…
こういう子こそ包丁とか持ち出しそう…
それはまだ先の話なので、気長に待ちます。
さて、今回の個人的おすすめポイントは
- 自販機で買おうとしたら急に出てきた直井(第1話)
- 彫刻刀でほっているときの来未(第3話)
- 教室入るときの生き生きした直井(第4話)
です。
最初の直井が急に横から出たときは、その時の2人の表情で思わず笑いました。
来未は目が死んでいるのに「うわ出た」みたいな表情ですごいシュールに感じました。
直井は直井で変にキラキラした目をしていて逆に不気味でした。
彫刻刀の場面は感想のときも少し出ましたが、その時の来未の表情も印象的でした。
直井の言う通り、心の底から楽しんでいるような顔をしていて、多分途中で話しかけられてもすぐに気づかないくらい集中していたんだろうなと思いました。
それまで抱えていた不満が爆発した瞬間であり、それを発散できたことに対する楽しさがあったんだろうなと思いました。
そこが印象的で、来未という人物の本音が出てきたように感じて私も好きになりました。
最後はその事があった後、学校でどんな反応になるんだろうとワクワクしていた直井です。
目と教室に入ったときの反応をみて、本当に楽しみにしてたんだろうなと思いました。
直井は基本的に目が死んでいるのに、来未と絡んでいるときは目が綺麗になることが多いのでそこも好きです。
まあ、あそこで机片付けてなかったら100%来未が犯人と言われるので、隠さないといけないんですが。
バイオレンスが強すぎて、ここから本当に百合の展開になるのか若干の不安を感じます。
私が読んできた百合が、きれいなものばかりだったかもしれませんが…。
来未を中心とした人間関係がこれからどうなっていくのか、怖いですが楽しみです。
あとがき
百合作品って大きく一括りにされることが多いイメージですが、もっと細分化すべきなような気がします。
といってもどう分割していくかが問題ですが…。
こういうバイオレンス系って他にもあるんでしょうかね。
すぐに思いつくのは「きたない君が一番かわいい」(まにお先生著、百合姫コミックス)でしょうか。
私は若干合わなくて読み切れていないですが、今なら読めるか…?
改めて読んでみていいかもしれませんね。
さて、今回の好きなイラストはカバー下です。
「アイドルをやっている来未」です。
相変わらずの目の死に方で、逆にこういうアイドルだったら見たくなります。
ちゃんと似合っているのはやっぱり美少女だなと改めて思います。
本編ではそんなこと感じる余裕が無いので…
そんな私にしては珍しいジャンルですが、とても引き込まれています。
バイオレンスが大丈夫な方は「一迅社プラス」や「ニコニコ静画」で無料で第1話が読めるので読んでみてはいかがでしょうか。
それではまた次の作品で。
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