はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介する作品は、冬芽沙也先生の「彼女のイデア」1巻です。最近の作品じゃなくて少し前の作品ですみません…
こちら、先日まで行われていたKADOKAWAの漫画のセールのときに見つけて買った作品になります。(こちらのセールはすでに終了しています。)
最初は買うかどうか迷っていたのですが買ってみたら個人的にドはまりする作品でした。
『もし憧れの人が理想と違ってひどい人だったらどう思う?』
『彼女のイデア 1』より引用
考えるほど深いなあと感じました。
自分に自信の持てない『日向いと』(いと)と『澄花』の関係がとても好きです。最近風でいうなら『推しのアイドル』と『ファン』の関係の物語ですね。
プラトンの「イデア論」と合わせて自分の理想とする相手はいないという流れに持っていくのはすごいなと思いました。
そんな2人の関係がどうなっていくのかとても気になる作品でした。
作品名 | 彼女のイデア |
作者 | 冬芽沙也 |
発行 | 2019年11月9日 |
定価 | 715円(税込) |
発行 | 株式会社KADOKAWA(電撃コミックスNEXT) |
あらすじ
中学2年生の冬。
自分に自身が持てない日向いとは、同い年の女優・澄花に心を奪われ、憧れの存在として自信の支えにしていた。
けれど高校生になったある日、澄花と出会い、自分を支えてくれていた理想の澄花との乖離にショックを受けたいとは…
「私が『澄花』を作ってあげる」
『彼女のイデア 1』あらすじより引用
感想
乖離していく理想と現実
今巻では、いとがそれまで見てきた『澄花』が、理想と現実がズレていくのを感じていくということが大きな流れとなっています。
芸能人とそのファンがメディアを通してのつながりから現実の繋がりになると、そうしたギャップに繋がってしまうのは仕方ないかなと思いました。
特にいとの場合は、自分のコンプレックスや過去の出来事を澄花の存在によって乗り越える事ができたことから、『澄花』に対する思い入れが強かったんだと思います。
なのでより理想の『澄花』と現実とのギャップに耐えることが出来なかったんだと思います。
その過去のトラウマとなっている『美那』との間に何があったのかについては、断片的にしか語られていないので実際は何が起こったのかについては今巻では語られませんでした。
今巻を読んでみての個人的な考察ですが、「憧れの人」ということを言っていたので、澄花を見るまでは美那のことを憧れの存在=自分の理想の人と思っていたんだと思います。
その理想の姿に近づこうとしていた先で、本当の気持ちを知ってしまい、ショックを受けたんじゃないかと思います。だれでも出来そうな考察で申し訳ない。
後感じたのは『可愛い』と呼ばれることへの抵抗が大きいと思いました。
学校指定のリボンをつけた時も自分には似合わないと言っていて、それ以外の場面で何度も自分のことを『可愛くない』と言っていましたので、コンプレックスだけではないように感じます。
美那との出来事の回想で、「美那の後についてくる姿が可愛い」と言われている場面があるので、その時に『可愛い』という言葉に対してトラウマを持っているように感じました。
もしくは、嫌な思い出として残っているから自分を『可愛くない』と思っているとかでしょうか。
どちらにしてもいとに根付いた棘は深いなと感じました。
これを澄花が抜くことができるのか、楽しみです。
性格の悪い(?)澄花
そんないとの憧れの存在(だった)澄花ですが、作品では度々「性格が悪い」と言われています。
まあ初登場で口が悪かったですし、マネージャーに対して「あいつ」呼びだったりしていたので、そういう噂が立っていたとしても仕方ないのかなと思いました。
個人的には口が悪いのはまあそうだと思うんですけど、性格が悪いとまでは言えないかなと思いました。
口は悪かったり、いとをエクストラに無理やり起用したりするなど強引なところはありましたが、それが性格が悪いことには繋がらないかなと思いました。
いとに対してリボンを破いたときも『ごめんなさい』といっていましたし、嫌な気持ちを感じていたいとを助けたりしていましたし、そこまで悪くないと思いました。
もしかしたら物語外で色々としているかもしれませんが。
もしくはいとに対してだけそういう優しさを出しているとか…さっきのいい人エピソードもいと関連だけだからかもしれませんね。
個人的には、澄花本人よりもマネージャーの『鈴山』ほうが性格的に良くないんじゃないかと思いました。
澄花がいっていた映画のエキストラのことを本人に確認を取らずに『出演してくださいますよね?』言ったり、いとのリボンを澄花が破いてしまったとき、『これぐらいならいい』や『うちで弁償させていただくのでいいですよね?』と言っています。
澄花自信も戸惑っていたのに、『大丈夫ですよね?』で流そうとするのは流石にどうかなって思いました。
澄花がいなくなったときに探していて、見つかったときに『良かった』と言っていたので、悪い人ではないんでしょうけど、若干サイコパス味を感じて少し怖く感じましたね。
性格が悪いことについて、SNSで澄花の悪ぐちが書かれていましたが、個人的にマネージャーが怪しいかなと思ってしまいました。(内部の人と思われていたので)
本人も頭抱えていたので違うとは思っているのですが胡散臭さを感じるせいで安心できないです…。無罪だったらすみません。
澄花がいとに惹かれたのは
これは個人的に疑問に思ったことなんですが、澄花がどうしていとに惹かれたのかということです。
初めてあったときの印象は盗撮されたと思っていたこともあり、そこまで良くなかったと思います。
そこからいとの学校にいってエキストラを頼んだのは純粋な興味だと思います。
そう考えると一番はあらすじでもあった場面ですが。
私が 「澄花」を作ってあげる
『彼女のイデア 1』より引用
だと思います。
これまでどう思っていて、どのように心が動いていったのかは正直私には見えてこなかったです。申し訳ない…。
『私のことを見てくれるから』ということを言っていたのでそれが関係しているのかなと思います。
次巻以降に澄花目線で振り返りとかあったらいいなと思います。
おわりに
「彼女のイデア」1巻の紹介・感想でした。
芸能人とファンとの間の理想と現実。そのギャップについて書いていてすごく刺さりました。
各々が抱える複雑な感情が物語を動かしていて、その場面の表情がどんな気持ちなのか考えるのも楽しかったです。
個人的推しポイントは
- リボンをつけて可愛いと言われたあとのいとの表情
- イベント会場にいるいとを見つけた澄花
- 澄花に『好き』と言われたときのいとの表情
です。いとは影が入っている表情が美しいです。
逆に澄花は自分の感情を表に出しているときが一番輝いていますね。
推しポイントでも書きましたが、今巻では澄花がいとに『好き』といい、それをいとが拒否したところで終わります。
この関係がこれからどんなふうになっていくのか。すごく気になります。
それではまた次の作品で。
あとがき
電子書籍、好きな場面に飛べたり、どこでも読めたりできるのはいいんですけど、私は本をパラパラしてページを探すのが好きなのでまだ違和感を感じます。
もう少し慣れていったら変わるのかなと感じます。
ただとても便利なので、これからも買っていきたいと思いました。
さて、今回私の特に好きなイラストは表紙、というかカバーです。
澄花といとが表紙と裏でそれぞれ違う花を持っていますが、その花が糸で繋がっているのがわかっていいなと思いました。
ただ、それぞれの花の名前はわかりませんでした。多分そこまでなにかしらの意味があるんでしょうけど…悔しいですね。
もっと花の名前など知っていたら面白くなるようなことは色々と勉強していきたいと感じました。
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