はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介する作品は、苗川采先生の「私を喰べたい、ひとでなし」7巻です。
比名子と汐莉の「対話」からはじまる巻となっています。
なんだか話が進むたびに悪い方にどんどん進んでいるように感じます。
今巻で少し改善の兆しが見えた…?と感じられる話になっています。
とりあえず最悪だけは避けられたかのように感じます。
問題の先送りにも見えてしまうのがしんどいところですが…
次の巻から新章突入のような感じで、これからの展開が更に楽しみです。
…「わたたべっ!」があったことがある意味一番最高だった点でした(精神的な意味で)
作品名 | 私を喰べたい、ひとでなし 7 |
作者 | 苗川采 |
発行日 | 2023年8月25日 |
定価 | 737円 |
発行 | 株式会社KADOKAWA(電撃コミックスNEXT) |
あらすじ
人魚の汐莉に喰べられることをのぞみ、そのために生きてきた少女、比名子。
しかし、その言葉は嘘であり、比名子を守ろうとしていた汐莉。
真実を知った比名子は絶望し、身を投げようとする。
汐莉は対話を行うも比名子の抱える闇は深く、その言葉は届かない。
汐莉は自身の願いを叶えるため、比名子と「約束」をかわす。
それが自身が一番望まないものだと知りながら…
少女とひとでなしの物語。
新たな約束が結ばれる第7巻。
感想
汐莉の願い、比名子の思い
6巻からの引きから始まった汐莉と比名子の「対話」。
しかし、実際に始まったそれは、対話といえるものではありませんでした。
どちらかというと、お互いの主張を言い合っているだけのようでした。
汐莉は、「比名子に生きてほしい」と言い、比名子は「早く終わりにしたい」ということを言い合う。
ある意味では子供の喧嘩のようです。
このままでは埒が明かないと感じた汐莉は、新たに約束をし直すことを提案します。
『君があの頃のように笑えたら
幸せになれたら
君を喰べるという約束です。』
『私を喰べたい、ひとでなし』7巻より引用。
今の比名子に生きてほしい、笑って欲しいと思うからこそ、自らの手でそれを潰すような提案をする汐莉。
汐莉がどれだけ比名子のことを大事に思っているかがわかる場面です。
比名子も、その約束を信じて「今」自ら死ぬことをやめます。
もう解決方法がこれしかなかったとはいえ、見ているだけで辛くなってきます。
しかもこれ以降、「自分が死ぬため」比名子の笑顔が増えていきます。
一方、それまで飄々としていた汐莉の表情が曇ることが多くなっていきます。
もう、みんなが幸せになれる方法は無いんじゃないか、そんなふうにも感じてしまいます。
最後の希望は、汐莉がどういうタイミングで比名子を喰べるか決めていないということだと思います。
いつ喰べるかは汐莉の匙加減といっていることから、なにをもって「比名子が幸せになった」とするか定めていないことになります。
これがいい方向に行くといいなと思います。
最終的に比名子が自己申告をするか、何かのタイミングで全員(美胡含む)が笑いあったときにそう感じてしまったってなりそうな気もします。
特に後者だったらホントにだれも救われないエンドになって寝込みそうです。
汐莉が望んだ「手近な明日」がいいものであることを願うばかりです。
3人で小旅行
比名子と汐莉の件が一応一段落した後、美胡は3人で小旅行に行くことを提案します。
ちなみに本誌では『ひとでなしガールズ』と言われていました。比名子もそっち側か…
比名子との「約束」のことを汐里から聞いてから、美胡は悪態を付きながらも汐莉にも気を使うようになります。
5巻のデート(?)以来、だいぶ精神的な距離は近くなっているような気もしますが。
改めて美胡がこの作品の良心ということを改めて感じます。
美胡がいるだけで作品全体が明るくなります。(というか美胡以外が暗すぎる)
また、この旅行は3人の関係性が変わっていることをなんとなく感じます。
さっき出た美胡と汐莉の関係性もそうですが、比名子と汐莉の関係性も約束の関係で変わっています。
上の感想でも少しいいましたが、いままで楽しそうな表情が多かった汐莉の曇り顔が多くなっているのがすごく印象的です。
一方の比名子は少しづつ楽しくなっているというのも、嬉しいことのハズなのに悲しさも感じます。
比名子と美胡もそれまでよりも若干距離が遠くなっているように感じます。
どちらかというと比名子の方が距離を取っている感じですかね。
こっちもこっちで「生きていて欲しい」と「死にたかった」と言っている中ですからね。
比名子にも申し訳無さとかそういうのがあるのかと感じます。
改善しているようで段々と悪化して言っているこの状況、終わり方がどうなるのか予測できないです。
最後に登場した新キャラが何か改善の手がかりになるのか、更に状況を悪くするのか。
早く続きが読みたくなります。
おわりに
ということで「わたたべ」7巻の紹介・感想でした。
これまで以上に重い話になっていて辛いしか出てこない…
その分、おまけと「わたたべっ!」の温度差が酷い。
いや、これまでのあらすじもギャグに見せかけた辛さがあるんですけどね。
今巻の個人的なオススメポイントは
- 感情をあらわにする比名子(28話)
- 比名子の血を飲んだ汐莉(28話)
- ガチギレする美胡(29話)
です。
汐莉から「生きていて欲しい」という本心を聞いた比名子が汐莉に『放っておいて』と言い返す場面です。
比名子が一番感情を表にした場面だと思います。
この感情が外に出ているときの比名子の表情が、少し子供の時の表情と似ているようにも感じます。
なんとなく、汐莉の言っているように比名子の時間はあの事故から止まっているのを表しているように感じました。
ちょうど、汐莉が比名子に自分の記憶を返したことも影響しているかもしれません。
2つ目は28話のラストです。
比名子と約束した後、今回の約束のお返しかのように比名子の唇を噛みます。
そこで比名子の血を飲み『全然美味しくない』と言います。
このときの表情が雨が降っていることもあり、泣いているように見えるのが印象にこります。
ここと31話は、特に汐莉の表情が泣きそうな表情を浮かべていますが、前までのインパクトからこっちを選びました。
3つ目は唇の件を知った美胡が汐莉にガチギレした場面です。
ここだけ見ると、すごくギャグっぽいですが、なんだかんだシリアスの延長線とも思います。
まあ、実際美胡にとっては大問題ですし。
この後の比名子の表情を見て何も言えない美胡を見て、美胡の優しさを感じます。
今巻は見どころが多すぎてホントすべて良かったです。
次から新章みたいな感じなのでこの関係性がどうなるのか、楽しみに見ていきたいです。
あとがき
「わたたべっ!のインパクトと強いですが、個人的にはカバー裏の裏表紙の一問一答もすきです。
過去が全員地雷って…その通りなので仕方ありませんが。
というかここの登場人物地雷多くないですかね。
特に今巻は本編で地雷原を踏み抜く感じの話だったので特に印象に残りました。
さて、今巻の好きなイラストですが、30話の表紙絵です。
3人で写真に写っている場面です。
この3人でこんな場面が見られるということになんとなく感動を覚えます。
しかも学校じゃなくて旅行先というのも心に来ます。
ここだけ見るとすごく仲良さそうに見えるのが不思議です。
多分周りの人から見たら仲いい3人組なんでしょうけど…。
ラスト前にはまた3人で笑顔で写真をとって欲しいです。
最近、メリーバッドエンド気味な作品を多く読んでいるせいか、わたたべも同じ方向に行きそうでなんとなく警戒してしまいます。
本人たちにとって幸せならいいんでしょうけど、このままだとむしろバッドエンドになりそうなのが怖い。
最悪にならないことだけを祈ります。
それではまた次の作品で。
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