はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介する作品は、うさみみき先生の「大正忌憚魔女」1巻です。
絵柄が絵本のようで可愛らしいです。
一方、内容は差別的なところがあったりと結構厳しいです。
舞台は日本の大正時代、初めて日本にやってきた魔女の『夜迷』が女学生の『雅鳳麟』などとの交流を通して成長していく物語です。
結構最近の魔女が出る作品は、魔女はいい存在として書かれることが多いですが、今作は大正という設定からか、昔話であるような「悪い魔女」のイメージが大きいです。
魔女という存在が嫌われているから、タイトルに「忌憚」というビジネス以外では聞き慣れない言葉が入っているのかと思います。
忌憚の意味は、「嫌なこととして避けること」や「遠慮すること」といった意味があります。
夜迷が嫌われていることと、遠慮がちな性格であることの両方をかけているのかなと思いました。
結構差別的なことがあるので、人によっては不快感を感じることがあるかもしれません。
私自身も結構きついと感じることがありますが、それでも頑張っている夜迷と麟の交流がいいので楽しんで読んでいます。
また、この作品の「魔術」は特別便利なものではなく、ファンタジー的にはどちらかというと錬金術に近いものだと思うので、工程は「呪い」と思われても仕方ないかなと思います。
読む人を選ぶかもしれませんが、古風な魔術やちょっと不思議な話が好きな人には合うかと思います。
個人的おすすめポイント
- ひたむきに頑張る夜迷
- 夜迷を一人の人としてみる麟
- 色々な魔術
作品名 | 大正忌憚魔女 1 |
作者 | うさみみき |
発行日 | 2023年2月27日 |
定価 | 704円(税込) |
発行 | 株式会社KADOKAWA(コミックキューン) |
あらすじ
時代は大正の日本に住んでいる魔女、夜迷。
彼女は魔術の研究のために西洋から派遣されてきた。
しかし、日本人からは魔女は人を呪うものと思われており、嫌われていた。
そんなある日、絡まれているところを女学生の雅鳳麟に助けられる。
そこから彼女たちの交流が始まり、少しずつ中を深めていく。
しかし、夜迷が行ったことが原因でと町の人達との関係は更に悪化していき…。
嫌われ魔女が魔女の誤解を解くために奮闘していく物語。
感想
ひたむきに頑張る夜迷
一人、西洋の魔女の村から派遣されてきた魔女の夜迷。
周りから嫌われていながらも一人で魔術の研究を続けているのすごいなと思います。
私だったら絶対心折れてますね。
しかも嫌われ方がヒソヒソ話で噂されていたり、態度に出されたりと割とリアルでありそうな嫌われ方だったので見ていてしんどかったです。
よく考えたら、魔女という存在自体、もともと怖いものだと思うので、こんな反応になるのは仕方ないのかなと思います。
にしても子供相手にするような態度ではないとは思いますが。
この作品の魔術自体、狐の幻やよくわからない生き物が出たりと見た目不気味なものが多いのでより悪いイメージがつきやすいのかなと思います。
そんな中川辺の草を食べながら研究を頑張っている夜迷は、応援したくなります。
まあ、草食べているのは完全に自分のせいですが。
本編に関係あるのかわかりませんが、「夜迷」って名前、日本名だよなって疑問に感じていました。
西洋の魔女なのに日本っぽい名前なのなんででしょうね。
日本に来る際にそれっぽい名前にしたのか、元々日本とかそのあたりの出身なのか。
前者は話を読む限り違うような気がしますが、出身もコレというような証拠もないのでわからないです。
このあたりも今後語られたりするのかなと思います。
夜迷を一人の人としてみる麟
そんな日本での人付き合いに苦しんでいた夜迷を助けたのが麟でした。
夜迷が絡まれていたときに、周りが助けなかったところに声を上げて助けに入って来ました。
今まで助けてもらったことがなかった夜迷にとってはヒーローのように感じただろうなと思いました。
麟は自分の正義に従って行動する子で、偏見で判断せず自分の感じたことを大事にする人物のように感じました。
なので、夜迷を「魔女」がどういう人物かを書物の知識だけで判断せず「夜迷」はどういう人物か判断したのかな思いました。
それが両方にとってとてもいい方向にいっていました。
とてもいい子なんですけど、そういう我が強い人って他の人から嫌われがちなんですよね。
誰も逆らえないようなすごい人ならともかく、普通の人がそういう人だったらいじめとか排斥の対象になりがちです。
この話でも他の女学生たちに疎まれているような描写があります。
まあ、あの子達自体だいぶ性格悪そうですけどね。
今後、麟話も入っていくると思いますので、楽しみにしたいです。
この話の流れ的にそんな楽しみにできるような内容じゃないと思いますけどね…。
色々な魔術
魔女が出てくる物語といえば魔法や魔術です。
この世界の魔女が使うのは魔法ではなく魔術です。
どんな世界でも魔法と魔術は違うものとして書かれていますが、この世界もでも「魔法」ということは一切出てこず、魔術のみとなっています。
この世界の魔術というのは、よくあるファンタジーのような派手なものではなく、おまじない的な意味合いが大きいです。
私の好きな作品で言えば『色づく世界の明日から』が一番近いかなと思います(あれは魔法ですが)
『心を落ちつける薬』や『悪夢を見なくなる首かざり』など日常の悩みを解決するためのものが多いです。
ときには幻が出るようなファンタジーらしいものもありますが、あまり積極的に使われるものではありません。
まあ、それにしては見た目がユニークなものが多いですが。
どちらかというと呪われそうな不気味な見た目のものが多いように感じます。
それがより人々から嫌われている理由のように感じます。
個人的には空に出てくる狐とかよくわからない蛇とかみたら面白いので好きですけどね。
ああいう世界では受け入れがたいというのもなんとなくわかります。
夜迷は、日本と西洋の違いから、日本ではあまり成功できていません。
というか、1巻の中で成功したものって逆に何でしょうかね…。
これからもいろんな魔術が出ると思いますが、どんなものが出てくるのか、個人的にはとても楽しみです。
おわりに
ということで、「大正忌憚魔女」1巻の紹介・感想でした。
可愛らしい表紙から話の重さや、いろんな魔術など惹かれる要素がたくさんあって個人的にはすごく楽しく読むことができました。
ただ、少しみててスッキリしない描写も少なからずあるので、万人受けは難しいかもしれないですね。
ただ、アニメ化したら映えそうな表現があって映像でみたいなという気持ちになる作品でした。
2巻も発売しているので早く読みたいです。
あとがき
話の途中で出てきた夜迷の手土産ですが、作中ではとりあえず「やばいもの」となっています。
食べた感想がなにも出ない食べ物って逆に気になります。
影藤先生はただまずいぐらいなのかなって思いますが、最後のおまけで食べた麟の反応がすごすぎて逆に気になりました。
どんな味がしたらあんな声が出るんでしょうか…。
さて、この作品もタイトルのイラストがないので、個人的に気になったアイキャッチのようなイラストについて。
話の間に偶に挟まる魔女の横顔のイラストです。
おそらく夜迷なのかなと思いますが、このイラストだけで見るとすごく大人びているように見えます。
魔女の帽子と長い髪をなびかせているような表現が大人っぽく見せているんでしょうか。
モノクロというのもそれを引き立たせているようにも感じます。
実際の年齢は麟の前後と考えると14,15歳と言ったというところでしょうか。
もしかしたらもっと幼い…?
このあたりはっきりとした答えが出るんでしょうか。
そのあたりも見ていきたいです。
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