
はじめに
こんにちは、トビです。
今回紹介する作品は、うの花みゆき先生の「雪と墨」1巻です。
珍しく百合作品以外になります。
地元の村人を50人殺した罪で斬首になる予定だった罪人『ネネオ』は、家督争いに破れ僻地に行くことになった名家の令嬢『フレイヤ』に買われます。
こういう傷の舐め合いのような関係性、個人的にはとても好きです。
お互い居場所が無いからこそ、似たような境遇のの相手に惹かれる。
見てて痛々しく感じることもありますが、美しいと思っています。
話しそのものは重いですが、暗くなりすぎないため、とても読みやすかったです。
途中から出てきた『ハルバード』が、場面を明るくすることが多かったので、重くなりすぎなかったです。
全くの前情報無しで買った作品でしたが、いまとても推しの作品になりました。
個人的好きなポイント
- 罪に苦しむネネオ
- ネネオのことが大好きなフレイヤ
- 2人に協力するハルバード
作品名 | 雪と墨 |
作者 | うの花みゆき |
発行日 | 2023年1月19日 |
定価 | 759円 |
発行 | 株式会社講談社(ヤングマガジンKC) |
あらすじ
地元の村人50人を殺害した罪で斬首になる予定だったネネオ。
そこに現れたのは名家の令嬢であるフレイヤ。
彼女は家督争いに破れ、僻地に向かう直前に、ネネオを買い取る。
それぞれの理由で世間から嫌われていた2人は、お互いの事情を知り、少しづつ距離を縮めていく。
居場所を失った2人は、それぞれを自分の居場所としていく…。
感想
罪に苦しむネネオ
田舎の村人50人を殺害した罪で斬首となる予定だったネネオ。
1話の時点でその事件の真相についても語られます。
真相を話していれば、罪が軽くなったかもしれないのに、それをしなかったのは、ネネオの心が優しかったからです。
その一方、その優しさのあまり、殺した罪の意識によって苦しめられています。
夜寝ていても悪夢に苛まれていたり、肉が食べられなくなったりと、その心に傷を負っているような場面が見られます。
あとを負って死のうと思っていても、あとを追うのは無責任だと感じていたり、ちゃんと裁かれないとと思っています。
許されたいとは思っておらず、むしろ自ら罰してもらいたいように感じます。
おそらく、贖罪の意味もあると思いますけど、背負い込みすぎじゃないかなとも思います。
それで真相を知らない人たちからは『人殺し』として蔑まれる。
人を殺したことは事実とはいえ、関係ない赤の他人からそこまで言われる必要は無いんですけどね。
日本でもSNSとかであるような、自分とは全く関係無いからと、加害者に対して一方的に色々言ったりしていることと同じなのかなと思います。
そんなネネオも、フレイヤと一緒にいるときは笑顔が出ていてよかったです。
罪の意識が消えることは無いんだろうと思いますが、彼女といるときが心休まる時間になるといいなと思います。
ネネオのことが大好きなフレイヤ
そんなネネオを買ったのは、家督争いに破れ僻地に向かうことになった令嬢、フレイヤ。
自分を僻地へと追いやった家に泥を塗るためにネネオを買いました。
しかし、ネネオの優しさに触れたことや事件の真相を知ったことにより、ネネオのことが好きになります。
思っていたよりもフレイヤが早くネネオのことを好きになったので驚きました。
しかも2話以降は、好意を全面的に出していました。
すぐにキスをしたがるし、他の女の人と話していると嫉妬するようになります。
独占欲強めですね…。
好きな人のために手料理をいきいきと作る姿が可愛いです。
というか、令嬢なのに自分で料理できるんだ…。
表情もネネオといるときは心なしか表情が豊かなような気がします。
1話の無表情とのギャップがすごいです。
あれは周りからの蔑みの顔の影響もあると思いますけどね…。
貴族社会の他人を心から信じることができない生活をしていたので、本音で話すことができるネネオに惹かれたのかなと思います。
それに、色々失ってきた人生だと思うので、一番好きなネネオのことは離したくないということだと思います。
にしても、色々と不器用な気がしますけどね…。
このまっすぐ好意を伝えてくる姿にネネオも救われているんだと思います。
この笑顔がこれからも続いてほしいです。
2人に協力するハルバード
この物語を話す上で、個人的に離せないと思うのが、2人に協力する研究者のハルバードです。
ハルバード、フレイヤの婚約者でした。
令嬢時代に婚約を結んでいましたが、フレイヤが家から追い出されたということで、フレイヤは婚約破棄されたと思っていましたし、ネネオ以外と結婚したくないと思っていました。
相変わらずネネオに対する愛が思いフレイヤ。
にしても一言も告げずに家から出て、挨拶もしないというのは流石にどうかと思いますけどね…。
だから経営が傾く…(ネネオ談)
そんな理由で婚約が解消されたハルバードはさぞ起こっているかと思いきや、ネネオ達の味方に立ちます。
ネネオには職を与え、フレイヤを助けます。
いくら変人でも優しすぎないかな、とも思いますが、ハルバードの反応を見る限り、本気でフレイヤのことが好きだからでしょうね。
成約結婚とはいえ、自分のしていた研究がわかる人ということと、学校で知っていた人柄に惹かれていたのかなと思います。
弁当をもらったときの反応が本当に喜んでいるようだったのでとてもおもろしろかったです。
こういう、頼りになる友人ができて、2人にとって本当に良かったです。
このまま3人で楽しくやって欲しい。
おわりに
ということで、「雪と墨」1巻の紹介・感想でした。
痛々しい描写が散りばめられていますが、その中にも明るさや希望を感じる場面が多かったです。
ほのぼのとは違いますので、痛々しい描写が苦手な人とかは読んでてしんどくなるかもしれません。
逆にダーク系の作品が好きな人は、おすすめできるかなと思います。
もしかしたら若干物足りないと思うかもしれませんが。
暗い雰囲気の中に愛を感じる作品ですので、気になっている方はぜひ読んでみてください。
ブログを書いている現在3巻まで発売されています。
こちらも後日紹介できればと思います。
あとがき
早速個人的に好きなイラストの紹介からです。
今回紹介するのは、第5話のイラストです。
ネネオ、フレイヤ、ハルバードがそれぞれタキシードやドレスといった正装をしているイラストです。
全員顔がいいからほんとによく似合っています。
フレイヤの優しい笑顔に癒やされます。
本編から察するに、ドレスを着るような場面では笑顔を作る余裕がなかったと思うので、本編ではないとはいえ、笑顔になっているのは良かったです。
ハルバードはそういうのに着慣れていそうなのドヤ顔からも見て取れて面白いです。
ネネオの若干不満そうな顔をしていて、似合っていないと思っているのかなと思いました。
多分フレイヤはべた褒めするだろうなと思います。
この三人で笑い合っていたらもう平和に終わるんじゃないですかねこの作品。
そんな簡単には行かないでしょうけどね…。
いつかこういう場面が本編で出てきたらいいなと思います。
それではまた次の作品で。
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